2022 Fiscal Year Research-status Report
New Vistas in Period-Drama Research: Researching Tangible and Intangible Resources on the Toei Kyoto Film Studio
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20K00265
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Research Institution | International Research Center for Japanese Studies |
Principal Investigator |
石川 肇 国際日本文化研究センター, 研究部, 特定研究員 (80596734)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 時代劇 / 衣裳 / 殺陣 / 絵画 / 甲斐荘楠音 / 旗本退屈男 / 京都国立近代美術館 / 東京ステーションギャラリー |
Outline of Annual Research Achievements |
3年計画の最終年度となる2022年度の最大の成果は、2023年2月11日から4月9日の期間、京都国立近代美術館において「甲斐荘楠音の全貌」展を開催したことである。大正から昭和にかけて活躍した日本画家の甲斐荘楠音の回顧展となるが、従来まったく知られていなかった/見向きもされなかった彼の昭和期における映画界での衣裳デザイナー(衣裳プロデューサー)としての活躍までを視野に入れたものとなる。そしてそれは展覧会サブタイトル「絵画、演劇、映画を越境する個性」を十二分に理解し、楽しめるものとなった。予想を大幅に上回る来館者数で、それは甲斐荘の絵画ファンと時代劇ファンの両者が赴いた結果である。そしてその両者が未知なる一方の魅力に気付いた瞬間でもあった。しかしながら、新型コロナウィルスの影響はやはり大きく、協力関係にある京都撮影所の衣裳担当者らに、それまで滞っていた仕事が一気に降りかかり、思うように撮影を進めることができなかった。そんな中、展覧会に必要とされる衣裳だけは探し出し、撮影することができた。時代劇衣裳を最重要展示物として開催された展覧会を、こうした国立美術館が行うことは初めてのことで、しかもそれは、2023年7月1日から8月27日の期間、東京ステーションギャラリーへと巡回することが決まっている。二つの展覧会はともに【主催】が担当美術館と日本経済新聞社、【協賛】が高砂香料工業、【特別協力】が東映、東映太秦映画村、【協力】が国際日本文化研究センター、京都日本文化資源研究所、となっている。大衆文化として軽んじられていた時代劇が、衣裳の美しさと役割とともに「総合芸術」として評価されたことになる。また、展示と同タイトルの図録も刊行され、それに執筆もしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
京都国立近代美術館において「甲斐荘楠音の全貌」が開催され、次いで東京ステーションギャラリーに巡回展示されることが決定していることがその理由である。当初計画にはなかったものである。研究成果の社会への還元という点からすれば、これ以上のものはないと思われる。また、無形文化財と言っても過言ではない、衣裳担当者の帯結び(「退屈旗本男」主人公だけに適応される独特のもの)も、動画(有形)として保存し、展覧会において映し出すことができたこともよかった。ただし、当初研究計画には時代劇映画の衣裳のみならず、その後に流行するテレビ時代劇の衣裳の調査研究も含まれていた。新型コロナウイルスの影響ではあるが、2023年度の科研費延長(結果4年となる)の成果としてそれを成し遂げたい。しかし、ここで再度振り返って考えてみれば、展覧会がそれを上回る社会貢献であり成果となっており、計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
京都撮影所におけるテレビ時代劇の衣裳調査を中心としたものにする。昨年度の「今後の研究の推進方策」でうたった①から⑤を推し進める。①撮影所の衣裳担当(引退なされた1名と現職1名)へのインタビュー。引退なされた1名は完了。②書籍類のある倉庫(今は図書室)の調査。こちらは協力者である東映の山口記弘氏の発案で小さいながらも一つの図書室とて整理されたので完了。③辻村寿三郎(二代目)へのインタビューを行う。こちらは連絡済みで、日程調整後に推し進める。④7月開催の東京ステーションギャラリーの展示準備を行う。⑤東映の若手俳優に依頼して作成したモーションキャプチャーにアニメを付け、発信できる形に整える。こちらも完成している。結果報告は展覧会の開催(図録も含む)をもって完了とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルスの影響で二年以上もの間、調査現場となる東映京都撮影所に入ることができなかったため。
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Research Products
(3 results)