2020 Fiscal Year Research-status Report
日本のモノづくりにおける人材育成の歴史的意義とAI・I o T時代の課題
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20K00273
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Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
田口 直樹 大阪市立大学, 大学院経営学研究科, 教授 (60303252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木下 和紗 高松大学, 経営学部, 講師 (20825559)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 技能教育 / デユアルシステム / I o T / 人材育成 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下の4つの視角からを遂行した。第一に、内部労働市場(企業内配置転換と多能工の育成)を前提としたOJTを基本とする技能育成の実態分析である。基幹産業である自動車産業を対象として、とりわけトヨタグループのOJTの意義を歴史的に検証した上で実態分析を行う。トヨタは3本柱活動(①標準作業の徹底と改善、②加工点マネジメント、③自主保全)を5KPI(Key Performance Indicator)=(安全・品質・原価・生産保全・人材育成)の指標で徹底し、知的熟練の「形式知化」ではなく、「見える化」により技能育成を徹底している。同システムは作業現場の組長と作業員で運用する人間の能力だけに依存する究極のシステムである。この取り組みはAI・I o Tの流れと逆行する取り組みである。またトヨタグループを中心とした「からくり改善機構研究会・夢動力」は「発想の可視化」を目的とした取り組みであり、エンジニアの柔軟な発想とモノづくり基礎体力の育成を目的としている。「形式知化」ではなく「見える化」にこだわる取り組みの本質=AI・I o Tでは処理できない要素を明らかにする。第二に、熟練労働者が減少し、不安定雇用が増大する中で一層のスキルレス化の工程編成が必要になる。従来の品質を維持しながらIT化を進めるたには、技能的要素を徹底してデジタル化するエンジニア能力が問われる。労働市場の環境変化に伴うエンジニア育成に焦点をあてる。第三は、製造I o Tプラットフォーム構築が叫ばれる中、システムインテグレーターに着目した調査・研究である。第四に、職人的世界である中小製造業の人材育成分析である。技能と最新鋭設備を必要とする工作機械・金型企業を中心に企業内技能育成の実態、若年労働者の育成・確保を目的とするデユアルシステムの実態、供給源となる専修学校・職業訓練学校等の制度的育成システムの実態を予備調査した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は実態調査を行うことで仮説を実証していくスタイルの研究である。故に、研究対象である製造業や教育・訓練施設へのヒアリングを前提として研究を推進していくことを計画していた。しかし、コロナ禍における緊急事態宣言の発出やその後の沈静化の動きを見せない状況下でヒアリング調査が十分に行う事ができていない。故に、本年度は文献資料等の調査を中心に行い、一定の成果は得られているが、実証とい点で計画通りに出来てない部分がある。また、海外調査も前提としていたが出張許可がでる状況ではなく、これもまた計画通り進んでいない。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍での企業のヒアリング等が直接できない可能性が依然とつづいている関係から、ヒアリング調査対象の企業・機関に対してリモート等で対応していくなどの調整を図り進めていく。
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