2023 Fiscal Year Research-status Report
橋梁・機械技術を中心とした技術の内的・外的要因の分析に関する研究
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20K00274
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Research Institution | Chiba Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 学 千葉工業大学, 工学部, 准教授 (60447555)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ジョン・ファウラー / テイ鉄道橋 / フォース鉄道橋 / ウィリアム・フェアベーン / トークシー高架橋 / トーマス・ニューコメン / Thomas Bouch / ベンジャミン・ベイカー |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度は、英国での資料調査・情報収集を行った。エジンバラのNational Record of Scotlandやダンディーの複数の公文書館・図書館などにて、テイ鉄道橋の設計者トーマス・バウチ(Thomas Bouch, 1822-1880)やテイ鉄道橋の崩落事故、フォース鉄道橋に関する調査を行った。さらに、ジョン・ファウラーが1849年に建設したトークシー高架橋を視察した。また、トーマス・ニューコメンの故郷ダートマスを訪問し、情報収集に努めた。他にも複数の図書館などを訪問し、資料調査・情報収集を行った。 そういった研究活動の中で、ファウラーが、管桁橋の普及と建造に果たした役割に着目した。 ブリタニア橋は、材料を多く使うなどして費用が高かったこと、また蒸気機関車が長い錬鉄管の中を通過するため、煙・臭い、太陽の熱による不快さがあったことはよく知られたことである。その後、管桁構造を用いながら天井などを省略したSpey橋やFindhorn高架橋がスコットランドに建造されてきた。 しかし、ブリタニア橋が開通する1850年の1年前、1849年にファウラーは、管桁を持つトークシー高架橋をトレント川に完成させている。トークシー高架橋は、天井を省略するなどして材料を節約するとともに、蒸気機関車の煙・臭い、太陽の熱の不快さを避けることができていたと考える。鉄道委員会の検査官がこの橋を拒否したことで、当時注目を集めたようだ。トークシー高架橋の強度については、フェアベーンの発表とその後の議論は土木技術者協会の会議録に掲載されている(Minutes of the Proceedings of the Institution of Civil Engineers 9(1850): 233-87.)。ファウラーがこの設計に至った経緯を、この資料および他の関係資料を踏まえて慎重に検討中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
令和2年度に採択された本研究課題だが、新型コロナウイルスの感染拡大によって、令和2年度と令和3年に予定していた英国での資料調査・情報収集ができなかったためである。令和4年度以降、英国へ出張するなど研究の遅れを取り戻すべく努力しているが、挽回までは至っていない。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、これまで収集してきた資料を読み解くなどし、論文を執筆するよう努力するとともに、技術史研究に資するような報告書を執筆できるよう準備を整える。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大や海外出張旅費が当初予定より大幅にかさんだのもあって研究計画を大幅に見直すことになった。そのため残額が生じた。 これらは令和6年度に、当該研究に関する書籍等の購入等に充てる予定である。
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