2021 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期における児童文化の伝搬と受容に関する比較と調査研究
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20K00296
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90185538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宮沢賢治 / 児童文学の受容 / 戦時中 / 貝の火 |
Outline of Annual Research Achievements |
「宮崎駿版『貝の火』と原子力――『天空の城ラピュタ』の〈行間〉を読む」(『専修国文』110号、2022年1月発行)という論文を発表した。 当該論文は、アジア太平洋戦争期に宮沢賢治の童話を受容し、その深い影響のもとで作品を制作してきたアニメーション映画監督の高畑勲の仕事について言及した。この点は、新潟で開催された高畑勲展の展示資料においても確認されのだが、戦時中に宮沢賢治の童話を受容した高畑勲が1968年の『太陽の王子 ホルスの大冒険』において、宮沢賢治の童話が描く登場人物を引用していることを指摘した。同様に、宮沢賢治の童話『貝の火』についても、戦時中に刊行された宮沢賢治の童話集に収録され、かつ高畑勲自身も同童話についてインタビュー等でしばしば言及しており、『太陽の王子 ホルスの大冒険』以来親交を深めてきた宮崎駿監督に影響を与えたことについて言及した。 今回の調査は、アジア太平洋戦争期に刊行された児童文学作品、とくに宮沢賢治については幅広く日本の児童文化に影響を与えていたことを知る手がかりの一つとなった。その影響は、直接的な受容ではなく、間接期な受容である点についても目を向ける必要があり、とくにそれが日本文化において大きな影響を与えている作品の場合には、注意が必要であると考えられる。宮沢賢治の童話集については、外地と呼ばれた地域、台湾、朝鮮、大連における図書館にも、その当時に所蔵が確認されるため、今後、国外地域での調査をさらに進めることによって、この観点からの研究が発展できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
東アジアの諸地域に赴き、実地調査が必要な研究課題であるが、コロナ禍で国外への渡航が制限され、研究が遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
国外への渡航制限が緩和される見通しであるため、研究の遅延を踏まえながら、研究を進める予定である。
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Causes of Carryover |
次年度は国外への渡航が緩和される見込みであるため、コロナ禍で実施できなかった国外での調査をできる限り実施する予定である。
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Research Products
(1 results)