2022 Fiscal Year Research-status Report
日本統治期における児童文化の伝搬と受容に関する比較と調査研究
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20K00296
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
米村 みゆき 専修大学, 文学部, 教授 (80351758)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
奥田 浩司 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (90185538)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 宮澤賢治 / 児童文学 / 戦時期 / 受容研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
単著(七月社、二〇二三年九月刊行予定)の準備中で同書に戦時中の宮沢賢治の受容について執筆した(現在、校正中)。 宮沢賢治の逝去後、宮沢賢治の宣伝を行っていた『イーハト―ヴォ』(一九三九年十一月~四一年一月)という雑誌の発行兼編集の代表であった菊池暁輝(本名は菊池二郎、詩人としてのペンネームは木口二郎)が、当時のことを回想した連載記事を入手し、同書に執筆した。 当該記事で、菊池は、宮沢賢治の宣伝、つまり〝太鼓〟たたきで一生を終わりたいと述べていた。また菊池は『岩手日報』の文芸記者であった森荘已池と相談して、宮沢賢治の会を作った目的を「会の目的は研究もそりゃあっただろうけれど、1番目にはやはり「宣伝」だった。私はその宣伝マン、太鼓ただきだったわけなんです。」と述べていた。すなわち、宮沢賢治の会の創設も、「宣伝」にプライオリティを置いていた事実を後にオープンにしていた。さらに文圃堂版宮澤賢治全集を売るために宮沢賢治の会を開き、宣伝をした事実も開示していた。この菊池の回想記事は、単なる暴露話にとどまらず、彼の宣伝活動が「盛岡朗読会」をつくるきっかけになっていたことである。菊池は宣伝のため、宮沢賢治全集を読んで聞かせると人々が感心し、改めて朗読の大切さを感じたという。朗読運動の始まりは、宮沢賢治の著作を売るためだったのだが、賢治の文章は難解だから音楽のように聞いた方がむしろわかりやすい、と 述べている。 この点は、岩手方言で朗読することで宮沢賢治作品の新たな魅力を引き出し一般に広めることに一役買った女優の長岡輝子の回想と繋がりを持っていた。長岡は、戦前の岩手は朗読詩が盛んであり、そのころリーダー格だったのがほかならぬ菊池だったと述べるからだ。今後、この観点からの調査をさらに進めることによって宮沢賢治の受容についての研究の進展が期待できると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で予定していた国外での資料調査の機会を得ることが困難であった。
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Strategy for Future Research Activity |
国外における戦時期の児童文学の受容についての調査が困難な場合は、国内の図書館、資料館等の調査を中心に戦時期の児童文学の受容研究をすすめてゆく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で予定していた国外での資料調査が困難であった。次年度はコロナ感染状況を鑑みながら国外での資料調査も可能な限りすすめる予定である。
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