2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00298
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
小林 ふみ子 法政大学, 文学部, 教授 (00386335)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 蒙求 / とりかへばや物語 / 土佐日記 / 在外資料 / 国学 / 北渓 / 辰斎 / 俊満 |
Outline of Annual Research Achievements |
感染症の広がりによる海外渡航および遠隔地への出張に制約があったことから、これまで集積してきた狂歌摺物画像および刊行されている摺物図録の図版、およびデジタル公開されている国内外の諸機関の摺物コレクションの情報整理にほぼ終始した。この間、あらたにフランス在住の収集家、ジョルジュ・レスコヴィッチのコレクションに摺物が約400点あるとの情報とともにその一部の画像を入手、ジュネーヴ版画美術館の摺物コレクション約100点(とはいえ狂歌関係は10点ほど)画像の提供を受けることができた。 これまでは整理のなかで注目すべきシリーズを精査し、画像を収集している段階であるが、和漢のうち、和書に基づく画題では、国学的な注釈などの研究対象となっていた文献や国学的著作に基づく特殊な知識を要求するものが散見する一方で、漢籍のほうでは著名作に取材するにとどまっていることが見えてきた。 和書を対象とするもので全貌をあきらかにすべく研究に着手しているのは、当時、未刊のまま写本で流通し、国学的関心の対象になっていた『とりかへばや物語』を主題とする窪俊満画の揃物20余点である。また、当時注釈研究が進められ文政2(1819)年に岸本由豆流『土佐日記考証』が出される『土佐日記』に取材するやはり窪俊満画の揃物14点(程度)についても同書との関係を検討するよう準備している。もう一点、中世末永正年間の成立とされるものの伝本の極めて少ない『なぞだて』に基づくと思われる辰斎画「永正年間何曾合」についても関心の由来や情報源を解析するよう準備をしつつある。 詳細な分析の対象とするものとしては、とりわけ詩作の初学書『蒙求』を題とする魚屋北渓画のシリーズに着目している。次年度、内容理解、使用テキストの特定が可能かどうかを検討すべく、画像その他の情報を収集している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
一次資料調査を進行できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
集めた作品のテキストや図像を、出典となる古典文学作品の諸本と照らし合わせて分析し、前提となる知識や理解度をあきらかにする方を優先する。 感染状況を見つつ、今年度は国内コレクションの調査を進めたい。
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Causes of Carryover |
本年度は予定していた出張をともなう調査が実施できなかったこと、研究協力者への作業依頼もできる状況ではなかったため、実質的に手元の資料でのみ分析を進行した。今年度には、国内諸機関の調査実施、協力者との作業分担も含め、積極的に進行する。
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