2020 Fiscal Year Research-status Report
人形浄瑠璃文楽の近世期上演記録データベース更新に係る新出資料調査と公開運用の研究
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20K00343
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Research Institution | Kyoto City University of Arts |
Principal Investigator |
神津 武男 京都市立芸術大学, 日本伝統音楽研究センター, 客員研究員 (10424821)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 浄瑠璃本 / 人形浄瑠璃文楽 / 書誌学 / 上演記録 / データベース / 番付 |
Outline of Annual Research Achievements |
江戸時代・近世期の「人形浄瑠璃文楽」(義太夫節成立以後の人形芝居)の、真に科学的な通史の完成を目指して、資料整備を進めている。筆者は「浄瑠璃本」(通し本。演劇台本・脚本に相当)、「番付」(ポスター・チラシに相当)の二種の史料について、日本国内および海外で悉皆調査を展開してきた。近年新たに所在を把握した未調査機関を中心に実地踏査して、「浄瑠璃本」「番付」各データベースの充実と精度の向上を目指す。 本研究課題「人形浄瑠璃文楽の近世期上演記録データベース更新に係る新出資料調査と公開運用の研究」では、「人形浄瑠璃文楽」の江戸時代の上演記録類に関して、(1)浄瑠璃本(通し本・丸本)、(2)浄瑠璃番付、の各所蔵機関を実地に訪問して、原資料に基づいた書誌調査を行うことを、研究方法の基礎とする。書誌調査によって得られた諸情報をこれまでに作成した二種のデータベース(「浄瑠璃本」書誌DB、「人形浄瑠璃番付」書誌DB)へ登 録して、各データベースの一層の充実と精度を高め、「人形浄瑠璃文楽」の江戸時代における上演実態の解明に寄与することが本研究課題の目的である。 本年度は、神戸女子大学古典芸能研究センターにおいて、「四世竹本相生太夫旧蔵資料」「志水文庫(信多純一氏旧蔵)」の(1)浄瑠璃本と(2)浄瑠璃番付の書誌調査を進めた。また『義太夫年表近世篇』刊行会が収集した浄瑠璃番付および浄瑠璃絵尽の写真について、鳥越文蔵氏の御高配を得て、デジタル画像化することが出来た。 義太夫節・人形浄瑠璃文楽の現行上演本文の成立時期に関する報告として、『日蓮聖人御法海』三段目切「勘作住家」についての初代豊竹麓太夫の関与を明らかにした。『宵庚申』中の巻「在所」の新出本(竹本織太夫氏蔵)を具体例として、初代竹本綱太夫の添削活動について解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
2020年度は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行のため、日本国内各地の所蔵機関を実地に訪問することが難しい状況となり、本研究課題の申請段階で予定したような各地各館を再訪する旅程は組み難かった。神戸女子大学古典芸能研究センターは資料点数が多く、複数年次にわたる調査を予定していたが、緊急事態宣言解除の間を縫うような形で、初年度にまとめて訪問することとした。当該館の御理解と御協力に感謝したい。 また『義太夫年表近世篇』刊行会が収集した浄瑠璃番付および浄瑠璃絵尽の写真について、鳥越文蔵氏が保管を依頼しておられた某機関との話し合いが進展するところがあって、改めて鳥越氏から立命館大学アートリサーチセンターに寄託されることとなった。この移管によって、『義太夫年表近世篇』刊行会が収集した浄瑠璃番付写真および浄瑠璃絵尽写真のデジタル画像化を遂げることが出来た。本研究課題の申請段階では予想し得ない展開とスピードで、先行研究の成果を引き継ぐこととなったのは望外の喜びであり、本研究課題の遂行において、欠くべからざる資料を得ることが出来たものである。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染状況は日々刻々と変化し、いまなお終息の見通しは立たないように思われる。このため本研究課題の申請段階で予定した国内各地の所蔵機関を再訪する調査は、順調には展開出来ないこともあろうかと考えている。 しかるに鳥越文蔵先生のご尽力によってデジタル画像化を遂げることのできた、『義太夫年表近世篇』刊行会収集の浄瑠璃番付および浄瑠璃絵尽の写真について、上述のデータベースへの登録作業を進めて、万全の継承を図るという新たな課題が生まれている。 浄瑠璃本や浄瑠璃番付の実地調査と、『義太夫年表近世篇』刊行会旧蔵写真のデジタル画像の整理というふたつの活動を組み合わせていくことで、往来自粛期間などを無為に過ごすことの無いように、研究を遂行したい。
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Causes of Carryover |
2020年2月から3月の時期に、緊急事態宣言の延長があって、旅程の変更を余儀なくされたために繰越金を生じた。次年度の出張旅費と合算して使用する計画である。
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Research Products
(3 results)