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2020 Fiscal Year Research-status Report

A Comprehensive Study on Globalization and Transformation of Japanese Literature: In Relation to Soft Power during the Cold War

Research Project

Project/Area Number 20K00350
Research InstitutionRikkyo University

Principal Investigator

志賀 賢子 (川崎賢子)  立教大学, 文学部, 特任教授 (40628046)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords日本文学 / GHQ / ロックフェラー財団 / 朝鮮戦争 / 東アジア冷戦文化 / インテリジェンス / 貫戦期 / 越境
Outline of Annual Research Achievements

国会図書館、新聞博物館、調布市武者小路実篤記念館など、池田市の阪急池田文庫など国内における調査、資料収集、データベース利用を主として行なった。トピックとしては冷戦期におけるロックフェラー財団の助成を受けて渡米した作家のうち、とくに大岡昇平、福田恒存、有吉佐和子についてのロックフェラー財団のデータベースを利用し、資料収集と分析を行なった。1960年前後の大岡昇平による松本清張批判の歴史性については、60年安保時の福田恒存の発言と合わせて検討した。松本清張によるGHQ占領期の謀略事件調査の成果である「日本の黒い霧」に対して、米国のインテリジェンス(情報戦・諜報戦)という事実をことさらに否定する大岡昇平の言説を分析した。あわせて、朝鮮戦争時の北九州における兵士の集団脱走と暴行事件の調査に基づく松本清張「黒地の絵」のテクストを研究し、松本清張研究奨励(北九州市松本清張記念館)の報告書を作成した。
これとは別のトピックとしてシベリア抑留を体験した文学者たちの帰還と表現について、資料収集と舞鶴における調査を行い、書評執筆および研究会ワークショップにおける発表を行なった。
20世紀メディア研究所(早稲田大学現代政治経済研究所内)におけるZoomによる研究月例会の司会、ミニシンポジウムにおける発表及び運営、機関誌編集を行った。TCS国際シンポジウム「メディア化された身体/引き裂かれた表象――東アジア冷戦文化の政治性」2021年1月23日・24日 於名古屋大学(Zoom)においてディスカッサントをつとめた。
国際学会における発表を準備し、査読も通ったものの、オーストラリアにおけるアジア研究学会、ヨーロッパにおける日本研究学会がいずれもコロナ禍で中止あるいは延期となったため、渡航は叶わなかった。同様にアメリカの公文書館及びプランゲ文庫における現地調査も延期せざるを得なかった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍により、国内外における出張を伴う研究調査、フィールドワーク、及び学会発表が著しく制限された。これを補うために、図書資料、複写資料の積極的な収集と分析に努めたものの、図書館の利用制限もあり、作業の遅れは否めない。アメリカの公文書館、プランゲ文庫、ロックフェラー財団のアーカイブなど、当初予定した国外での調査は延期せざるを得なかった。研究のネットワークづくりに関しても、学会ないし研究会は中止、延期、さもなければZoomによる開催へと変更されたため、困難が多かった。オーストラリア及びヨーロッパの国際学会における発信の機会がなかったこと、国内では出版の遅延があり入稿したものの刊行が大幅に遅れていることなど、研究成果がなかなか形にならない一年であった。
ただし限界はありながらも時期を選んで、国内における研究調査に赴き、引揚博物館、池田文庫、昭和館、新聞博物館、調布市武者小路実篤記念文庫などに直接足を運び、貫戦期(1930年代から冷戦期にかけて)の資料収集を行うことができた。20世紀メディア研究所(早稲田大学現代政治経済研究所内)における研究会は月例で持続的に開催され、その運営と編集に関わることができた。コロナ禍でも開催された学会、研究会を通じて、冷戦期、とくに朝鮮戦争と文学文化についての知見を深めることができ、他の科研プロジェクトのメンバーと学際的かつ国際的な交流を深めることができたことは収穫である。冷戦期における日本文学の国際化と変容について、従来は日米関係の中で考察してきたが、シベリア抑留を体験した文学者の表現を研究する機会を得たことも重要な成果であった。
また刊行は遅れているのものの、入稿を済ませた論文、報告書、単行本などの成果物はあるため、次年度以降に研究成果の発信に関しては遅れを挽回する可能性が残されている。

Strategy for Future Research Activity

国内外の出張調査が可能になり次第、現地に渡っての資料収集を再開したい。それまでの間は、引き続き国会図書館における資料調査、新聞博物館における地方紙の調査を行い、国内で可能な限りの図書資料の収集にあたる。2021年4月の段階では、まだ海外における現地調査の目処は立たないものの、今年度もウェブ上のデータベースを横断的に活用し、プランゲ文庫、米国公文書館、ロックフェラー財団のアーカイブ調査を進める。
国内における現地調査としては、GHQ占領期から冷戦期にかけての、地方の資料を、各地の図書館及び文学館の郷土資料や地方史研究にあたって掘り起こす。GHQによる接収及び米軍基地についての記録資料を収集する。
日本文学の変容と国際化については、日米の二国間関係だけを焦点化するのではなく、東アジアの中の近代日本文学という視座、および旧ソ連との関係に対する視座を設定して研究を進める。具体的にはとくにロックフェラー財団の助成によって渡米した創作者たちの、文化冷戦についての言説分析及び、米国表象・アジア表象の分析を積み重ねていく。GHQ占領期から文化冷戦期にかけての変容を連続的に記述するための制度分析を行う。
成果の発信としては20世紀メディア研究所(早稲田大学現代政治経済研究所内)の研究会の運営、機関誌の編集を拠点として、文化冷戦期のメディアとプロパガンダ、インテリジェンスについて学際的かつ国際的な研究を蓄積していく。近接する科研プロジェクトとの共催のワークショップを企画する。国内の学会及び研究会への参加と、EAJS(European Association for Japanese Studies)(査読付、現在内定済)における研究発表を通じて、研究の共同的なネットワークの構築を図る。Japanese Studies(Routledge)への投稿論文を執筆・改稿する。

Causes of Carryover

予定して居た国際学会への参加が延期または中止されたため。
国外での出張調査ができなくなったため。
コロナ禍の状況が改善され次第国外での出張調査を行う。

  • Research Products

    (6 results)

All 2021 2020

All Journal Article (4 results) (of which Peer Reviewed: 2 results) Presentation (2 results) (of which Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 岩本憲児・アンニ編『戦時下の映画:日本・東アジア・ドイツ』2021

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Journal Title

      映像学

      Volume: 105号 Pages: 100-103

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 「大陸三部作」の越境:;メディア・ジャンル・ジェンダー2021

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Journal Title

      Intelligence

      Volume: 21 Pages: 4-17

    • Peer Reviewed
  • [Journal Article] 「彼女の新世紀--李香蘭/山口淑子/シャーリー・ヤマグチ」2020

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Journal Title

      NFAJニューズレター

      Volume: 10号 Pages: 10-11

  • [Journal Article] 「太平洋戦争とドナルド・キーン」展を見て2020

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Journal Title

      20世紀メディアよもやま話

      Volume: 1 Pages: 2-3

  • [Presentation] 『支那の夜』再検討―李香蘭研究の可能性と課題2021

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Organizer
      現代中国研究会
    • Invited
  • [Presentation] 「「大陸三部作」の越境ーメディア・ジャンル・ジェンダー」2020

    • Author(s)
      川崎賢子
    • Organizer
      20世紀メディア研究所

URL: 

Published: 2021-12-27  

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