2020 Fiscal Year Research-status Report
Construction of the Database of Katakana Old Printing Types Used in Documents Printed at Ninna-ji, and the Study of the Emergence and Diffusion of the Lexicon Wagyokuhen Based on the Database
Project/Area Number |
20K00355
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Research Institution | Kansai Gaidai University |
Principal Investigator |
村上 明子 関西外国語大学, 英語キャリア学部, 教授 (70261112)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 心蓮院版 / 倭玉篇 / 古活字版 / 古活字データベース / カタカナ活字 / 古活字印刷 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、心蓮院版『倭玉篇』に使用されるカタカナ活字のデータベースを構築し、古活字版の伝播の様相を心蓮院版『倭玉篇』を中心に解明するものである。現在、画像処理のプログラム構築の実施と並行して、手作業によるカタカナ活字「ウ」・「ホ」・「メ」の切り出しと分類、データベース化を進めており、各活字の総数や同活字が現れる丁数などから組版のペースや工房の規模など印刷作業の検証を行っている。これはプログラム構築の精度を確認するための意義を有するとともに、サンプル活字から印刷事業全体を推測、捕捉するための基盤となる作業である。現在は国会図書館本、影印本を中心に作業を進めているが、終了時には天理本にも着手する予定である。これらの作業により、おおまかには古活字印刷の作業工程や工房の規模が予測できると思われる。また、プログラミングに関してはすぐには結果を出しえないので、継続して作業を依頼している。 心蓮院版『倭玉篇』には4段本・5段本の種類がある。同版と思われるものでもカタカナ活字が異なる、天地逆のカタカナが修正されている等の相違があり、印刷時が一致しない。したがってカタカナ活字を精査することで心蓮院版諸本の先後関係特定の可能性があると当初は考えていたが、調査の途上で、先後関係はさほど重要ではないと考えるに至った。漢字活字、カタカナ活字ともに活字自体に大きな差異はなく、出版形態の相違は出版動機の差異によるものであり、4段本・5段本などの体裁は成立過程に係わるものではないと推測される。 また、慶長年間成立の整版本のカタカナ活字には古活字版と似た字体が確認されるので、整版本は心蓮院版との関連が予想されるのであるが、昨年度は整版本のデータ化をなしえなかった。古活字と整版本の彫字の同一性、近似性についての検証は、写真撮影等の準備が必要なので、その依頼も含め、コロナ感染の状況を見て実施したいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ感染の広がりにより、講義オンライン化の準備に追われ、思うほど作業が進捗しなかった。また、対面を必要とする共同作業や打ち合わせ、資料データ化のための外部依頼などのタイミングがつかみにくく、海外、国内ともに資料収集や人的交流も思うに任せなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ感染は先が読めない状態であるので、まずは個人でできるカタカナのサンプル活字の手作業による切り出し、分類、整理等を実施し、データベース化を進めるとともに、研究協力者にはプログラミングの継続、実施を依頼する。オンラインによる打合せの体制は整っているので、進捗状況の報告などを昨年度よりは密にして相互の協力体制を強固にしていく。 また、作業は落ち着いてきたので、オンラインや郵便等による資料収集などは積極的に実行する予定である。
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Causes of Carryover |
本年度はコロナ感染の影響により、旅費、交通費などの使用がなく、また外部委託も時期が見極めきれず、次年度使用額が生じた。現況では先が読めないので、旅費・交通費は一部取り置くとして、外部委託費やデータベース制作費に多くを使用する計画を講じている。
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