2021 Fiscal Year Research-status Report
戦火とモダン―日中戦争時期重慶の文化芸術における表現様式の研究―
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20K00369
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 准教授 (70372638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 みどり 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30434351)
高橋 俊 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (10380297)
杉村 安幾子 日本女子大学, 文学部, 教授 (50334793)
城山 拓也 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60749109)
奥野 行伸 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (00868028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 徐Xu / 葉浅予 / 洪深 / 孫陵 / 重慶 |
Outline of Annual Research Achievements |
コロナ3年目に入り、現地調査を実施できない状況が続くが、2021年度は青島科研21K00333 ・湘西科研20K00363 と合同で、9月7日に第1回研究例会を、また3月29日に第2回研究例会をオンラインで開催することができた。第1回研究例会は、もっぱら各メンバーが個別研究の研究成果を報告するものであった。第2回研究例会は、2部に分け、前半が打ち合わせと研究報告で、各メンバーの今年度の総括と来年度の研究計画を報告した。後半はゲストスピーカーによる講演である。川野明正氏(明治大学)による講演「艾蕪の歩いた道―四川・雲南・ビルマ」を聴講した。1930年代、作家の艾蕪が旅した四川・雲南・ビルマの道程を発表者が撮影した写真を中心にたどったもので、作品に関わる非漢民族(いわゆる「少数民族」)や雲南漢人・ビルマ雲南華人について、漢人旅行者の現地民族との関係性や民俗・民間信仰(一例として漢人旅行者の現地民族女性に対する婚姻忌避の観念と民族間呪術の問題)・事物(塩業・旅店・雲南関係各種施設)などのトピックを取り上げて概観・報告されたものである。中国内陸部の重慶研究にとっても大きな収穫があった。 共同研究者の研究成果としては、城山の日中戦争初期における葉浅予の抗日漫画研究、杉村の徐Xu「幻覚」を無名氏作品との関わりで見た研究、中村による洪深の映画脚本「劫後桃花」に関する研究発表と、大東亜文学者大会をめぐる内山完造の関わりに関する研究、中野の孫陵『辺声』に見る日中戦争時期の共産主義との接近に関する研究等がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記のように、個々のメンバーによる個別の研究成果は着実に上がっているものと考える。ただその一方で、本研究課題を開始した最大の目的とも言える現地調査は、中国のゼロコロナ政策維持の方針を受けて、見通しが立たない状況が続いている。そうした現実を踏まえ、共同研究のフィールドを受け入れ開始が早い中華圏の地域等に変更する可能性も視野に入れて検討する。
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Strategy for Future Research Activity |
個別の研究成果については日本国内でできるものは引き続き着実に実行する。また終わりが見えない中国のゼロコロナ政策と、現地渡航の見通しが立たない現実を踏まえ、共同研究のフィールドを他の中華圏の地域等に変更することも検討したい。共同研究者とよく相談して早急に判断する。
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Causes of Carryover |
現地調査を十分に行うためには、今年度の交付額だけでは不足するという事情もあり、コロナにより渡航が禁止されたという事情が重なり、次年度の再開に向けて積み立てることにしたメンバーが多かった。引き続き、現地調査再開後に活用することを期したい。
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Research Products
(9 results)