2023 Fiscal Year Annual Research Report
戦火とモダン―日中戦争時期重慶の文化芸術における表現様式の研究―
Project/Area Number |
20K00369
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Research Institution | Osaka Kyoiku University |
Principal Investigator |
中野 知洋 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (70372638)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 みどり 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (30434351)
高橋 俊 高知大学, 教育研究部人文社会科学系人文社会科学部門, 教授 (10380297)
杉村 安幾子 日本女子大学, 文学部, 教授 (50334793)
城山 拓也 東北学院大学, 教養学部, 准教授 (60749109)
奥野 行伸 佛教大学, 公私立大学の部局等, 非常勤講師 (00868028)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 重慶 / 日中戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国のビザ免除再開を待ち続けた後半の2年間だったが、重慶の現地調査を中心とする研究課題は、コロナ禍と重なり、残念ながら変更を余儀なくされたと言える。研究例会は、8月と3月の2回開催した。第1回は8月23日に台北で対面で、また第2回はオンラインで3月28日に、メンバーがそれぞれの研究経過を持ち寄って報告した。 最終年度は、各メンバーが個別の課題について研究を進めることとなった。 主なものを挙げると、中野は重慶を経て戦後台湾に渡った王平陵の作品が、1950年代後半に「自由」を強調するようになることを反共文学との関連から論じた。奥野は、重慶郊外の北碚で刊行された雑誌『北碚月刊』を調査した。城山は、重慶で活動したこともある漫画家の葉浅予が、中華人民共和国建国前後に中国画に転じたことを論じた。杉村は、予且「浅水姑娘」における不幸を嘆く女性の形象を論じた。高橋は、中国に関するものでは中国における水泳の表象を分析し、「身体をみせること」の問題系を論じたほか、勤務先である高知と文学、またポーの小説など、幅広いテーマに取り組んだ。中村は、久保田万太郎の戦時下上海への訪問と観劇の問題、『改造』「現代支那号」(1926)を通じて見た同時代小説としての中国文学と日本語の問題、内山完造と第三回大東亜文学者大会など、戦争と日中文化交流の問題について研究した。 一見すると重慶から離れたテーマもあるが、いずれも戦前から日中戦争を経て戦後に至る時期に、中国の知識人が時代の変化に対応する様子を捉えたものであり、その舞台の一つとして重慶も関わっている。またいずれも、異文化交流という視点を含むものとなっている。
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