2020 Fiscal Year Research-status Report
A Study on Xie Bingxin and Wu Wenzao's Private Diaries from 1950's to 1970's: from the View of Influence by Brainwashing Education
Project/Area Number |
20K00373
|
Research Institution | Kokugakuin University |
Principal Investigator |
牧野 格子 國學院大學, 文学部, 准教授 (10459000)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
宮本 めぐみ お茶の水女子大学, 文教育学部, アカデミック・アシスタント (40711354)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 中国文学 / 中国近現代文学 / 中国近現代史 / 謝冰心 / 呉文藻 / 思想改造 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度行った「國學院大學平成31年度/令和元年度特別推進研究助成金」による成果である報告書を作成した。本報告書は、2018年3月、2019年9月の冰心文学館での閲覧を基に、解読、翻訳したものである。 当該日記の先行研究としては、王炳根『冰心日記』(2018年、作家出版社)があるが、これは一部を解読し発表したものである。上記報告書では、『冰心日記』内で「旅欧日記」と名付けられた、1955年6月~7月の謝冰心の日記を現物と対照した。結果、解読しきれていない箇所を指摘し、新たに注を付け、翻訳した。 上記報告書を基にした成果として、牧野格子「1955年「旅欧日記」から見る謝冰心の社会的地位」(『國學院中國學會報』第66輯、2020年12月)を発表した。これは、上記成果から、1950年代から60年代にかけて頻繁に外遊に出かけ、新中国における外交的任務を背負った謝冰心の姿を探ったものである。当時の中国における女性作家の立場を探った貴重な研究である。 他に、1955年10月以降の謝冰心の日記を中国語ネイティブの助けを得て、解読を続けている。以降は、1950年代謝冰心が行った中国国内での活動、外遊を探る。これらの作業を通して、謝冰心と呉文藻が新中国での活動を通して、研究の目的で示した、1、謝冰心と呉文藻が受けた思想改造教育とは如何なるものであったか。2、思想改造教育は、謝冰心文学に如何なる影響をもたらしたか。3、呉文藻はなぜ右派に認定され、謝冰心はなぜ認定されなかったか。4、1950年代からの日中友好運動において謝冰心は如何なる役割を担っていたのか。の問題を明らかにしていきたい。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題の予算の大半は資料閲覧と調査のための旅費に占められている。昨年からのコロナ禍の影響で、中国への渡航が不可能となり、未実施の箇所の閲覧ができなかった。また、今年度の研究会の実施にも影響を与えるだろう。ただし、在日本の研究者で実施するか、オンラインでの実施も視野に入れることになるが、どの程度の支出になるかは不明である。
|
Strategy for Future Research Activity |
上記の通り、コロナ禍の影響により新たな箇所の閲覧は困難が予想される。しかし、過去2回行った閲覧で得た成果を基に、更なる解読を続け、注釈を付し、翻訳をする作業を続けていく。これらの作業を通して、謝冰心、呉文藻夫妻が受けた思想改造教育を明らかにしていきたい。さらに、これらの成果を深めるため、国内での研究会(オンラインの可能性)を開き、広く社会への貢献に寄与したい。また、中国渡航が叶うようであれば、研究協力者と共に閲覧、調査を行いたいと考える。
|
Causes of Carryover |
今年度コロナ禍のため、中国渡航が出来ず、現物閲覧ができなかった。さらに、研究会開催などが実現できず、大幅な残金となった。次年度は様子を見て中国渡航に伴う旅費、さらに日記解読に伴う謝金、研究会開催に伴う謝金の支出を目指し、研究を進めていきたい。
|