2022 Fiscal Year Research-status Report
Study on Religious Literature in Early Modern China :Mainly about Baojuan or Precious Scrolls
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20K00378
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松家 裕子 追手門学院大学, 共通教育機構, 教授 (20215396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小南 一郎 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 名誉館長 (50027554)
磯部 祐子 富山大学, 大学本部, 理事・副学長 (00161696)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 宝巻 / 目連戯 / 鄭振鐸 / 戦瘟神宝巻 / 紹興 / 宣巻 / 惜穀宝巻 / 余治 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、文献調査と実地調査の両方を行ない、それらを総合して進めることを予定していたが、2022年度も中国への渡航が果たせず、松家と磯部は宝巻、小南は目連救母伝承を中心に、文献調査による研究を行なった。 松家は、主として2021年度に進めていた「惜穀宝巻」についての研究をまとめ、5月に中国の雑誌に発表した。多くの宝巻と同じく作者名が記されないこの宝巻が、清代末期の慈善家、余治の作品であることをほぼ確定できた。これにより、宝巻の作者についての研究が進展する可能性が拓けた。また、1938年に刊行された、鄭振鐸『中国俗文学史』の「宝巻」の章の翻訳を行なった(2023年度刊行予定)。この作業をとおし、宝巻というジャンルの全体像や宝巻研究史を概観、これをまとめて、この翻訳書の解説に記した 小南は、宝巻とかかわりの深い目連救母伝承にかんする2つの成果を発表した。ひとつは、最近まで伝承されてきた福建省ホ[サ+甫]仙と浙江省紹興の目連戯の記録にもとづき、目連戯のもつ意味を考察した。もうひとつは、考古学雑誌に見える報告などを資料とし、この伝承の歴史的な展開について、墓葬壁画から検討を加えた。 磯部は、中国における実地調査に代わる手法として、Web上の資料を利用し、宗教文藝(宝巻)が今日の中国社会でどのように命脈を保っているか、どのように変容しているかについて、疫病神と戦うという題名の「戦瘟神宝巻」を紹介した。 以上、各々の題材と手法を用いて研究を進め、宝巻という文藝のもつ意味を少しずつ明らかにしている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度も、中国に赴いて実地調査を行なうことができなかった。中国ほか海外の研究者との交流も進められていない。一方で、文献調査は、Web上の素材を用いた研究も含め、進めることができている。したがって「やや遅れている」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年度には、文献調査を継続するとともに、中国への渡航が可能になると推測し、宣巻その他の宗教儀礼あるいは藝能の実地調査を再開したいと考えている。また、中国その他、海外の研究者との交流も開始したい。本研究は、研究期間の2020年度から2022年度まで、中国における調査ができなかったため、研究期間を1年延長した。したがって、最終年度となる今年度には、研究をまとめて冊子体の報告書を刊行する。
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Causes of Carryover |
2022年度も中国に赴くことができなかったため。2023年度は中国に調査に行けると推測している。
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