2021 Fiscal Year Research-status Report
米国舞台・表象空間における日本人ストックキャラクターの系譜と展開
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20K00385
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Research Institution | Ochanomizu University |
Principal Investigator |
戸谷 陽子 お茶の水女子大学, 基幹研究院, 教授 (30261093)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アジア系 / Bret Hardt / Mark Twain / Heathen Cheenee / Ah Sin! / Robert Long / David Belasco / Madame Butterfly |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、近代以降の米国表象空間(主に舞台芸術)に展開した日本人のストックキャラクター群を対象に、①主としてマスメディアにおける言説や表象と比較・実証的に再検証することにより、そのイメージの形成と展開を、地政学的文脈に照らし、文化史的な系譜として概観・分類し、②さらにその後の発展と変容、現代に通じる展開を同様に検証し、③グローバル化の進む現代の表象空間における日本人とアジアの表象の新たなる展開を標榜するための学術指標を提示することにある。 2021年度は、「世紀末における日本人イメージの展開」(仮題)のテーマに沿って、初年度に行った調査対象と範囲を20世紀以降にも拡大し、同様の調査により日本人のイメージが展開してゆく様相を検証した。一方で、2020年の研究テーマ「黎明期日本人イメージの形成と捏造」(仮題)の調査も継続して行った。特に、中国人等アジア人の表象と、日本人の表象の経緯を比較検討するために文学作品も検証した。 1948年に始まる金鉱発掘(ゴールドラッシュ)、1869年から1900年まで断続的に続く大陸横断鉄道の建設を契機として中国人労働者が増加し、中国人移民を対象にした差別的な法律中国人排斥法(1882年)が制定されたのと並行して否定的な中国人(アジア人)の表象も増加した。ブレット・ハートはゴールド・ラッシュ期を舞台にした数多くの戯曲を執筆したが、ハート戯曲に登場する中国人像をめぐる人々の反応や、一時期ハートと共同で戯曲の執筆・公演制作を試みた(後に決裂)マーク・トウェインのアジア人表象に関する反応についても検討した。またロバート・ロングの小説『蝶々夫人』の舞台化の経緯(演出家/プロデューサーのデイヴィッド・ベラスコとのコラボレーション、プッチーニへの影響)を、欧州のジャポニスムとの関係を中心に検討し、この時期の文学作品にみられるアジア人の表象を比較検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナ感染症角田の影響により、海外訪問調査の予定が当初の計画通りに実施できなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナ感染症拡大により、海外調査の予定を計画通りに実行することができず、外国旅費に計上した金額を消化することができなかったため。 海外調査の計画実行については未だ不透明ではあるが、海外渡航が可能になれば調査を実施する。その他オンラインによる資料収集のための経費を当初の計画に 追加し、アーカイヴ資料の検索・閲覧等をオンラインで充実させる。
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Causes of Carryover |
新型コロナ感染症拡大により、海外調査の予定を計画通りに実行することができず、外国旅費に計上した金額を消化することができなかったため。
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Research Products
(1 results)