2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00386
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹腰 佳誉子 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (70377232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 建国の父 / ナチュラル・ヒストリー / 植物学 / 庭園 / ジョン・バートラム / ウィリアム・バートラム / 博物学 / トマス・ジェファソン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は、「植物学者/プラントハンターであったジョン・バートラムとウィリアム・バートラムの庭園づくりと著作、そしてアメリカ建国およびアメリカの庭園/庭園としてのアメリカについての考察」を研究目的とし、まず18世紀のヨーロッパの庭園、とくにイギリスの庭園の特徴とそれらと建国の父たちとの関係性について明らかにするために様々な資料を収集し、読み直しを行った。また同じ時期にフィラデルフィアにおいて作られていた様々な庭園とバートラム親子の庭園を比較するとともに、バートラム親子の庭園を訪問した当時の知識人や政治家たちについて、また彼らのバートラムの庭園に対する反応や、それらが間接的にアメリカ建国やナショナル・アイデンティーの形成に及ぼした影響についても様々な資料の読み直しを行った。 バートラム親子の庭園は、当時の他のフィラデルフィアにあった庭園とは異なり、アメリカの13州で生息していた様々な植物が自由に配置され、ともに育っていただけではなく、フランクリニアなどそこでしか見ることができないアメリカ独自の植物もあり、その画一的ではなく、豊かな植物にあふれた庭園はまさに独立後のアメリカが目指すべき姿が体現されていたといえる。13州の植物がともに育っている様子は、13州が協力して独立後の国家を支えるべきであることが表されているとともに、その豊かな植物の種類は国の発展を約束するものとして考えることができる。 この研究については、「アメリカ建国とアメリカの庭園―Bartram's Gardenを中心に」と題して学会発表をしている。今後、論文としても発表を予定している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は、「植物学者/プラントハンターであったジョン・バートラムとウィリアム・バートラムの庭園づくりと著作、そしてアメリカ建国およびアメリカの庭園/庭園としてのアメリカについての考察」を研究目的としていた。アメリカでの資料収集についてコロナ感染症の影響で渡航がかなわなかったことは想定外であったが、研究目的に関連する様々な資料をオンラインなどを活用し、できる限り国内において収集できたと思われる。それらについては、丁寧に分析および考察することができた。その成果は、学会発表されており、今後は論文として発表することを念頭に置いている。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は、アメリカ建国の父たちの植物学に対する知的好奇心、植物学者の活動内容と著作、そしてアメリカの建国/庭園としてのアメリカが独立、文化形成、さらには19世紀初期のアメリカ文学に及ぼした影響について考察を行っていく。 また令和3年度において予定していたアメリカでの資料収集についても、令和3年度に行った研究をさらに発展させるために実行したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍であったため、出席予定の学会はすべてオンライン開催となり、旅費の支出がなかった。また海外への資料収集も難しく、旅費を使用することがなかった。このような理由から次年度使用額が生じた。 令和4年度は、可能であればバートラム親子に関する資料収集のため海外訪問できればと考えているが、難しい場合は引き続き国内での資料収集(書籍購入)に費用を当てる考えである。
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