2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00386
|
Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹腰 佳誉子 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (70377232)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 建国の父 / ナチュラル・ヒストリー / 植物学 / ジョン・バートラム / ウィリアム・バートラム / ベンジャミン・フランクリン |
Outline of Annual Research Achievements |
令和4年度においては、令和3年度、令和2年度の研究で明らかになったことを踏まえ、アメリカ建国からアメリカ文化形成(19世紀初期のアメリカ文学)の過程について植物(学)や庭園思想を軸とした観点から読み直しを行う予定であったが、前年度の研究テーマであったウィリアム・バートラムの執筆物、特に『旅行記』に関する分析が不十分であったため、さらに読み直しを行った。『旅行記』で描かれているネイティブアメリカンやさまざまな動物たちに関する描写から、バートラムの思想、特に神によって造られる自然界で見られる秩序を通してみる「存在の大いなる連鎖」の概念についてのバートラムの疑義や疑問について彼のクエーカー教徒としての側面も踏まえ分析を行った。 またこれまでの研究過程において、バートラム親子と深くかかわりがあった同年代の知識人であるベンジャミン・フランクリンについての研究及び分析においても興味深い発見があったため、このことについては「イギリス第一帝国の発展と崩壊, あるいは共和国アメリカ誕生への布石 : ベンジャミン・フランクリンの1750年代の活動について」という題目で論文として発表をした。本論文では、フランクリンの動植物への関心と植民地独立に関するフランクリンの思想について、特にポリプという刺胞動物が持つ独自の特徴にインスピレーションを得て、国づくりのアイデアとしたことを明らかにするとともに、その後のアメリカの帝国主義的な思想への影響について述べている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
前年度に行っていたウィリアム・バートラムに関する研究について、バートラムの執筆物、特に『旅行記』に関しての分析が不十分だったことと、同研究に関してアメリカでの資料収集を計画していたが、コロナ禍による旅費の高騰などもあり実現できなかったことが遅れの主な理由である。必要な資料に関してはできるだけ国内で資料を入手したが、研究過程で新たに得た発見や興味を抱いた事柄に研究時間が割かれることがあった。これらについては今後も想定されるが、研究計画に沿った研究の時間配分になるよう今後は配慮したいと考えている。ただし論文としてまとめることができたことは評価できると思われる。
|
Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は、前年度に主として研究していたウィリアム・バートラムの『旅行記』について論文として発表し、またアメリカ建国の父たちに始まる植物学への知的好奇心やその活動が、アメリカの独立かた、さらにはその後の19世紀のアメリカ文学に与えた影響について考察するとともに、学会等で発表の機会を得て、論文発表につなげたいと考えている。
|
Causes of Carryover |
コロナ禍であったため、参加した学会がオンラインでの開催となったり、アメリカでの資料収集を中止したりしたため、旅費を使用することがなかった。そのため次年度使用額が生じた。令和5年度は、アメリカでの資料収集及び、研究に必要な書籍の購入を予定している。
|