2023 Fiscal Year Research-status Report
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20K00386
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
竹腰 佳誉子 富山大学, 学術研究部教育学系, 准教授 (70377232)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ナチュラル・ヒストリー / ジョン・バートラム / ウィリアム・バートラム / トマス・ジェファソン / アメリカ建国 / 庭園 / ランドスケープ |
Outline of Annual Research Achievements |
令和5年度においては、令和2年度から4年度の研究を踏まえ、アメリカ建国と庭園思想の関連性について、関連資料の読み直しや新しい資料の分析からさらに考察を深めた。研究結果は、「アメリカの庭園とアメリカ建国 : Bartram’s Gardenに魅了された知識人たち」という題目で論文として発表した。本論文では、おおよそ次のことを述べている。トマス・ジェファソンのようなアメリカ建国当時の知識人であり政治家たちの多くが、大西洋を挟んだ旧大陸と新大陸における庭園(作り)や植物に関心を示すとともに、ヨーロッパの庭園で育っていた新大陸産の植物を見て独立後のアメリカの目指すべき姿を想像していた。そして新大陸においては、とりわけ植物学者であったバートラム親子の庭園が多くの知識人を魅了した。その理由は、バートラム親子の庭園が当時の流行りの庭園スタイルとは一線を画したものであり、13州それぞれの特徴ある植物がその特徴を生かしたままに見ることができたからである。1787年5月からフィラデルフィアにおいて実施された合衆国憲法制定会議においては、各州の代表者が集まりアメリカの国づくりの骨格ともいえる憲法を決めるべく議論を戦わせていた。代表者の一部がバートラムの庭園訪問後に自身の意見を変化させていることなどから、各代表者の意思決定においてもバートラムの庭園が何かしらの影響を及ぼしたことが推察される。バートラム親子の庭は、まさにアメリカの建国後の方向性を決定する際に極めて重要な役割を果たしていたといえる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ジョン・バートラムおよびバートラム・ガーデンと当時の知識人のかかわりについて、さらなる分析をするため、アメリカでの資料収集を計画していたが、旅費高騰などの理由から実現できなかったことが遅れの主な理由である。しかしながら、国内でできるだけ資料を収集したことにより、研究論文を執筆できたことは評価できると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
令和6年度は、バートラム・ガーデンと当時の知識人とのかかわりについてさらなる分析を進めるとともに、当時の庭園思想やランドスケープに関する思想が19世紀初頭のアメリカ文学へ与えた影響について考察を深めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
参加した学会がオンライン開催であったり、アメリカでの資料収集を中止したことから旅費を使用することがなかったため。令和6年度は、アメリカでの資料集及び研究で必要な書籍の購入を考えている。
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