2021 Fiscal Year Research-status Report
ロマン派期英国・アイルランド小説の系譜研究―19世紀の正典形成と受容
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20K00394
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Research Institution | Gakushuin University |
Principal Investigator |
吉野 由利 学習院大学, 文学部, 教授 (70377050)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | イギリス文学 / アイルランド文学 / ジェイン・オースティン / 正典形成 / 文学の受容 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度同様、Covid-19の影響で予定していた海外資料調査やウプサラ大学Emma Clery教授との意見交換は次年度に延期することになったが、国内で入手可能な資料や、英国ロマン派協会等関連学会のオンライン研究集会等に出席し、可能な範囲で最新の研究動向を把握した。特に、英国ロマン派協会主催のオンライン研究集会では、国際アドバイザーを務めているDigital Edgeworth Networkのプロジェクトの進捗報告を基にした意見交換会に出席し、コロナ禍を経た研究方法論の可能性について有意義な議論を共有することができた。また、これまで入手が困難であった資料のデジタル化の具体例についても有用な情報を得ることができた。前年度に引き続き、エッジワースとオースティンの作品受容の歴史背景の鍵として、18世紀啓蒙思想の時代からヴィクトリア朝時代にかけてのジェンダー観に理解を深めるため、『パメラ』をはじめとする主要文学作品における婚姻制度の表象の傾向を、ポスト世俗主義の観点等を交えながら、概観し直した。また、エッジワースの小説『ベリンダ』(1801)がアナ・バーボルドが編んだ『イギリス小説家選集』(1810)に収録された際、エッジワース自ら行った異人種間結婚の削除を含むプロットの上書きの経緯を再検証するなど、当時の文壇と女性作家の緊張関係に関する考察を重ねた。成果の一部は書評1点と次年度刊行予定の論文にまとめた。また、オースティンとエッジワースの北米とフランスにおける受容の主な事例も概観した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
Covid-19の影響で年度中に予定していた海外資料調査やEmma Clery教授との意見交換は次年度以降に延期することになったが、国内で入手可能な資料や、英国ロマン派協会等の関連学会のオンライン研究集会等を通して、一定度補うことができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
海外資料調査は、今年度中にCovid-19の感染が収束し実施可能になった場合に行う。それまでは、引き続き国内で入手可能な資料やオンライン学会・研究会を活用する。また、延期されたClery教授の来日が年度中に実現しない場合は、オンラインでの意見交換に変更する。
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Causes of Carryover |
Covid-19感染の影響で国内外の出張ができなかったため関連する予算を繰越した。海外資料調査は、今年度中にCovid-19の感染が収束し実施可能になった場合に行う。
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Research Products
(1 results)