2021 Fiscal Year Research-status Report
Ralph Waldo Emerson's Cross-sectional Intellect and Antislavery Movement in a Divided American Society
Project/Area Number |
20K00398
|
Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
小倉 いずみ 大東文化大学, 法学部, 教授 (00185563)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 「アメリカの文明」講演 / 「共和国の命運」講演 / リンカーン大統領との面会 / 講演原稿の復元 / オルソンと初期アメリカ / ジョン・ブラウン / reading drama |
Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は日本英文学会関東支部の定期刊行物にエマソンによる奴隷制廃止に関する論文を発表した。これは昨年3月にNortheast Modern Language Associationにおける口頭発表に加筆したものである。南北戦争について彼が発言した内容は研究されておらず、本論文は『新版全集』に書かれたエマソンの講演の復元過程を手掛かりに、『後期講演集』を使用して「共和国の命運」講演を分析した。また1862年2月にエマソンがリンカーン大統領に面会した際にスミソニアン・インスティテューションで行った講演「アメリカの文明」の分析も行った。 リンカーン大統領の演説も奴隷制廃止に大きく関わるので、彼によるペオリア演説とクーパー・ユニオン演説も扱った。リンカーンは歴史的知識に優れ、建国の父祖たちが奴隷制の悪を意識していたことを指摘した。政治家として彼は連邦を分裂させないために妥協したが、奴隷制廃止を最終目的としていた。エマソンは各地の講演を通してリンカーンの目的の実現に尽力した。 海外共同研究者のゲアリ・グリーブカールソン先生と緊密な連絡をとっており、先生は学術誌Clio Journalに論文を掲載した。先生はアメリカ詩が専門だが歴史に詳しく、チャールズ・オルソンの詩に現れる初期アメリカの開拓の歴史を論文に著した。また短いエッセイとしてジョン・ブラウンに関する解説文を議会図書館のオンライン刊行物に出版した。これは歴史的事実をベースに劇の形をとったreading dramaで、劇場の設定はないが、役者たちがジョン・ブラウンや登場人物にふんして脚本を読んだものである。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
毎年必ず論文を出版あるいは研究発表をしている。コロナウイルスでアメリカの学会に出張できないが、オンラインで学会に参加できる場合は必ず出席している。
|
Strategy for Future Research Activity |
2022年度は7月にアメリカのソロー学会でエマソンに関する口頭発表を予定している。対面で行われる予定だが、出張できない場合はオンラインで発表する予定である。また最終年度の来年に向けて著書を出版するための原稿を準備している。エマソンやリンカーン、ソローだけではなく、広く奴隷制に関するnarrativeを読んでいる。
|
Causes of Carryover |
2021年度もコロナウイルスの影響からアメリカに出張することができなかった。今年度は全米ソロー学会で研究発表を予定しているので、旅費を使用する予定である。
|