2020 Fiscal Year Research-status Report
"Sea-faring Scots" in 19th Century British Novels and Border-crossings
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20K00419
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Research Institution | Takasaki University of Health and Welfare |
Principal Investigator |
松田 幸子 高崎健康福祉大学, 人間発達学部, 准教授 (10575103)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | スコットランド史 / ナショナル・アイデンティティ |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀におけるイギリスの海外進出、とりわけ東南アジアとの関わりについての基礎的な文献(Lieberman, Strange Parallels Southeast Asia in Global Context, c.800-1830, McCusker and Soares eds, Islanded Identities: Constructions of Postcolonial Cultural Insularity等)を調査・収集した。 第92回日本英文学会のシンポジウム「The isle is full of noises――近世イングランド文学とユートピア的「島」幻想」では研究発表「The Tempestと17世紀における〈島〉の変容」を行い、シェイクスピアの『テンペスト』の変遷を辿ることで、19世紀以前のイギリスの島についての表象を歴史的に概観した。 また、スコットランドとイングランドとの同君連合によって成立した連合王国という概念を、シェイクスピア『マクベス』から読み、「「母とは呼べない、もはや墓場だ」―『マクベス』と死せるスコットランド」として論文にまとめた。 これらの研究によって、19世紀にイギリスの海外進出という枠組みの中で、スコットランドがそれと足並みを揃える形で帝国のエージェントとしての役割を担っていたことを確認することができた。同時に、17世紀にイングランドと連合したスコットランドが、19世紀までいかにイングランドとの対比によって内からのナショナル・アイデンティティを形成してきたのかを概観した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
世界的な新型コロナウイルスの感染拡大のため、本年度実施予定であったスコットランド国立図書館・エディンバラ大学での文献調査を行うことができなかったため、19世紀にスコットランドを離れ航海した知識人の手記など、比較的国内では入手しづらい一次資料の収集が達成されていない。
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Strategy for Future Research Activity |
日本国内からアクセス可能なオンライン・データベース(Nineteenth Century UK Periodicals等)を駆使し、19世紀におけるスコットランド人の移動についての一次資料を収集する。また、アメリカ・東南アジアを中心にそれらのスコットランド人の移動の過程を整理し、スコットランドのナショナル・アイデンティティ形成が、それらの地でどのように行われていたのかを分析する。感染の拡大状況を踏まえ、成果発表は来年度とする。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルスの感染拡大のため海外渡航ならびに国内出張が不可能となったため。
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Research Products
(1 results)