2020 Fiscal Year Research-status Report
Afrometis: A Study on Africadia and the Diversity of Atlantic Canada
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20K00424
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
荒木 陽子 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (90511543)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アフロメティ・ネイション / アフリケーディア / 環境レイシズム |
Outline of Annual Research Achievements |
限られた研究環境の中ではあったが、学生のアフリカ系文化への関心の高まりから、学生とともに多くを学んだ。 カナダ・ノバスコシア州のアフロメティ(Afrometis、アフリカ系と先住民のミックス)およびアフロメティ・ネイションの研究の基礎的情報の取得につとめた。その足掛かりとして、ノヴァスコシアの想像上のアフリカ系コミュニティ、アフリケーディアの歴史を知るために、学生とともにアメリカ独立戦争後同地域に移住した黒人少女を主人公に据えたリン・コジツキー(Lynn Kositsky)著の児童文学『レイチェル』(Rachel,Penguin,2001)を学生と輪読するとともに、9月には18世紀には北米最大の黒人コミュニティであったノヴァスコシア州シェルバーンのブラック・ロイヤリスト・ミュージアム、および黒人コミュニティが存在したウェイマス・フォールズを訪問し、知見を深めた。 後期前半は前期に得たアフリケーディアやアフロメティ・ネイションに関する基礎知識を深めるために、その言葉、概念の生みの親ジョージ・エリオット・クラーク(George Elliott Clarke)が、ウェイマス・フォールズをモデルに描いた韻文小説『ワイラー・フォールズ』(Whylah Falls,Gaspereau,1990)を精読した。特に第一章については学生と輪読した。2月以降は研究をアフリケーディアからアフロメティ・ネイションへと広げていくために、同州のアフリカ系住民と先住民ミクマク双方に対する環境レイシズムをとりあげたイングリッド・ウォルドロン(Ingrid Waldron)の研究書『そこにある環境レイシズム』(There's Something in the Water,Fernwood,2018)およびその映画版(2019)を研究し、岸野英美との共著論文(2021年夏出版予定)にまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
出産、感染症の拡大で、資料入手のための移動や図書館の利用が限られる中、利用可能なノヴァスコシア州の施設や資料を利用して、最大限研究を続ける努力をし、共著論文の一部にその成果をまとめることができた。また、ジョージ・フロイド事件の影響で指導する学生にアフリカ系北米人の関心が高まったことで、物理的移動ができない中、若干研究の方向はブレたかもしれないが、学生と非常に有意義な形で知識の共有ができて満足である。
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Strategy for Future Research Activity |
令和2年度に研究予定で後手にまわったブラック・インディアンの歴史的、文化的背景、カナダの音楽社会学的研究の前例について、文献調査を行い見識を深める。前期は出版予定の共著論文の校正を続けるとともに、カナダの音楽家に関する音楽社会学的研究傾向を把握するため、先行研究が比較的豊富なラッシュを例に研究する。夏以降は可能な範囲で、資料収集やクラークやマキシン・タインズ(Maxine Tynes)のテキストの精読をすすめる。状況的に可能であれば、アフロメティ・プロジェクトに関してクラークにインタビューもしたい。
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Causes of Carryover |
産時休業(5月~8月)および感染症の拡大による移動制限で、研究が思うように進められなかったため。また、実際に研究のため移動した場合、その移動に交通費が使えなかったため。
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Research Products
(1 results)