2022 Fiscal Year Research-status Report
Afrometis: A Study on Africadia and the Diversity of Atlantic Canada
Project/Area Number |
20K00424
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Research Institution | Keiwa College |
Principal Investigator |
荒木 陽子 敬和学園大学, 人文学部, 准教授 (90511543)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アフロメティ / アフリカ系カナダ人 / 先住民 / マイノリティ / アトランティックカナダ |
Outline of Annual Research Achievements |
5月末に行われたアトランティック・カナダ・スタディーズ学会(主幹:カナダ、ニューブランズウィック大学)にて、同地域のアフリカ系地域研究の現状を学ぶとともに、ドラマ『アンという名の少女』におけるマイノリティ表象に関する発表"Representations of Sexual Minority Youth in Atlantic Canadian Screen Media: A Study"を行った。ハイブリッド開催の時間制限のため、ここでは性的マイノリティ中心の発表となった。ただ、研究自体は同ドラマの描くカナダ東海岸の先住民(ミクマク)、アフリカ系住民の表象の在り方についても行っており、それらについては別に論文にまとめ、所属大学の授業で活用するとともに、所属大学の紀要にまとめた。同論文の執筆は、全盲のため視覚的に理解することのできない学生に対して、地理的にも文化的にも予備知識のない、カナダ東海岸の人種マイノリティの在り方をどう伝えるかという、ジェンダー、セクシュアリティや民族を超えた多様性や、ユニバーサル・デザインの教育・研究の必要性を考える機会となり、今後の研究の方向性を考える上でも意義深い。 本科研費からは研究用書籍購入程度の支出であったが、年度末の国際ワークショップでは、David Huebertのカナダ東海岸の多様性を反映する作品世界を知ることができた。さらに本年度よりニューファンドランド島の漁業に関する研究をはじめた。将来的には、同地域のアフロメティについても研究を拡大していきたい。 老人施設で働く夫や小さな子供がいるため、コロナ禍での現地図書館、資料館等での資料収集、インタビュー等は控えた。そのためこれまでに収集した資料の整理を行いつつ、マキシン・タインズのテクスト精読をすすめ、令和5年10月の日本アメリカ文学会(北海道)にて、学会発表にむけて、研究を続けている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
令和4年度も後半までコロナ感染症対策のため、自由な行動がとれない。カナダ現地で対面で行わなければいけないインタビュー等の作業が、令和2年の研究開始からほぼ実施できていないため、遅れている。また令和4年度は育児休業後職場復帰して初年度であり、教育や校務を優先せざるを得ない状況にもあった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度前期は4月に青山学院大学におけるメディア研究に明るいマクルーハン研究者の講演を拝聴し、メディア・映像研究の面から研究をはじめる。8月ないしは9月にカナダ渡航し、前年度までにできていない、クラーク、シルヴィア・ハミルトン(クラーク、タインズ両者をしる映像研究者)、レスリー・チョイス(タインズのかつて編集者)にインタビューを試みたい。そして、断片的な情報しか残されていない、生前のクラークとタインズの対立を明らかにし、今後の研究につなげていきたい。また、これらのインタビューの機会を研究最終年度の成果発表の一環としておこなう、カナダから講師を招いて行う講演会の企画につなげていきたい。 また、本年度は10月の日本アメリカ文学会発表を目標に、「G.E.Clarkeの<アフリケーディア>を超えて――Maxine Tynesの<つながる、ひろがる>詩」(仮)をテーマとして、研究をすすめ、「アフリケーディア」や、クラークとタインズを日本の研究者に紹介したい。そして、タインズの詩の精読をすすめ、ハリファックス近郊ダートマスで生きた身体に障害をもつアフリカ系女性タインズが、同じアフリカ系でありながら、より権力に近く、大きなモビリティを持つ男性大学教授クラークの作った「想像の共同体」アフリケーディアに閉じ込められることを避けようとしていた可能性を提示したい。 後期はこれまでに収集した資料の整理を行いつつ、遅れているブラック・インディアン研究をすすめるとともに、クラークやタインズの著作の精読も続け、10月の学会発表を論文化したい。 コロナ禍ならびに育児休業に伴う研究の遅れを取り戻すため、令和6年度に研究延長申請を行う予定である。
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Causes of Carryover |
日本からカナダへの渡航が伴う資料収集、インタビュー、学会発表等が令和2年度から4年度まで3年連続実施できなかったため。
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