2023 Fiscal Year Research-status Report
英語文学作品を教員養成課程用大学教材とするための基礎研究
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20K00429
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
宮原 一成 関西学院大学, 教育学部, 教授 (10243875)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 教員養成 / 英語文学作品 / 教材 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、英語文学作品を、大学生向けあるいは中学校・高等学校向けの語学教育の教材としてではなく、教師になることを目指す学生向けの教員養成課程教材として活用する方策および方法論を探る基礎研究である。 2023年度の主な成果は、2022年度同様に、研究論文の公表という形となった。教員養成課程に先駆けて文学作品を人材養成に用いてすでに成果を上げている医療従事者教育の現場を視察することは、2022年度に続いて断念した。主に参考にしたのは、英語文学研究の分野において蓄積され続けている読解・解釈の営みである。これらの「読み」の実践例を渉猟し、生徒指導などの場に応用可能な解釈法を考察した。 結果として1本の研究論文を完成し、1本の学会口頭発表を実施することができた。具体的に言うと、論文のほうは、カナダ人作家マーガレット・アトウッドの小説『キャッツ・アイ』(1988年、Cat's Eye)を、いじめ事象が人間の後半生に及ぼす影響や、その影響が人生の中でどのような発露の表現形態をとりうるかを、教職志望学生とともに考える授業を提案する論文である。特徴としては、主人公が成長した後に画家になっている、という物語の展開に着目し、主人公が制作する絵画作品の中に、少女期の被虐体験がさまざまな形で描き込まれていることを、学生が読み取って指摘していく、という授業の形を提案した。この論文は2023年度末刊行の大学研究紀要誌上にて公開した。 口頭発表は、マーティン・ブーバーの教育論と文学読解、特に文体論的アプローチについての内容のものである。具体的な作品の教材化の提案には至らないものの、そうした提案の基板の一つとなる考え方について考察した。こちらは、7月開催の国際文体論学会(PALA)年次大会において発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本来は研究の最終年度であったが、最終年度にふさわしい総括を行う時間的余裕はなかった。今年度新しく任された校務に1年間を通して忙殺されたことが大きく影響してしまった。研究期間を一年再延長することを申請した所以である。 曲がりなりにも論文を1本完成し、口頭発表を1本実施したことで、最低限の成果は上げられたように思う。上記に挙げた実績の他、対面形式で開催された学会への出張を、年度末までに複数回行って、貴重な治験の収集を行うことができた(調査出張は実施しなかったが)。なかでも日本英文学会大会では、登場人物の家庭環境のなかで明記されていない事柄に対する洞察の持ち方についての教育法につながる知見を複数得ることができた。 とはいえ、この年度は本来は研究の最終年度となる予定のものであるため、研究の締めくくりとなるようなまとめの論考をまとめるべきところであった。しかし残念ながらそれには至らなかった。上に述べたように、年間を通じて作業量が膨大な校務が予定外のタイミングで入ってきたことが原因であるが、この点、忸怩たるものがある。
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Strategy for Future Research Activity |
研究期間延長の結果、2024年度が本研究の最終年度となる。少なくともあと1本の事例研究を公表し、加えてこの基礎研究を総括する内容の論考をまとめたいと考えている。だが、遺憾なことに2024年度には授業担当の負担が激増してしまったため、本研究に当てることのできるエフォートの率は2023年度よりもさらに下がる見込みである。2年連続して逆風が吹くなかで研究を「推進」するのは難しいが、使える時間をすべてつぎ込む覚悟を固める、というくらいしか方策はあるまい。担当する授業の性質を考えると、これまで考案してきた授業案を学生を相手に試行してみることも、現実的ではなさそうである。とにかく、手を広げすぎることなく、これまでの成果を具体的な形でまとめ、発表することに力を傾注する予定である。 文学研究や文体論研究の学会から文学読解の新しい実践例を吸収することは続けたい。そのため旅費も効果的に利用したいと考えている。が、最優先課題は、最終年度にふさわしい締めくくりの論考をまとめることだと考えている。
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Causes of Carryover |
予定外の公務が入り、1年を通じて忙殺されたため、研究に充てることのできる時間がほとんどなかった。そのため、書籍や文献の収集および出張等について、当初計画のとおりの費用をかけることができない形となった。 次年度には、国内の学会出張や必要な文献収集などに予算を使用していきたい。
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Research Products
(2 results)