2020 Fiscal Year Research-status Report
J.ポール・ゲティ美術館の写本Ms.30における細密画を中心とする複合的異界研究
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20K00432
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Research Institution | Fukuoka Dental College |
Principal Investigator |
壬生 正博 福岡歯科大学, 口腔歯学部, 教授 (30249784)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 中世イギリス文学 / 異界 / 夢 / 幻視 / アレゴリー / 旅行記 / 聖書 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、中世西欧の夢幻視物語(Dream-Visions)が語る異界(The Other World)――主として地上や天のパラダイス――に焦点をあて、当時の文芸作品や視覚芸術に見られるパラダイス描写の深層意識の究明を目的としたものである。種々の夢幻視物語から本研究では特に『タンダールの幻視物語』(The Vision of Tundale)を中心に研究を実施している。平成2年度は、以下のシステム構築および研究等を行った― 1)本研究を遂行するために必要なシステムを構築した。具体的には、写本の細密画の解析を行うために、画像処理に優れたデスクトップパソコン、細密画を拡大して細部を調査するための大型ディスプレー、また、国内の図書館や美術館等での調査・研究の折りにも高速で画像処理ができる可搬性に優れたノート型パソコン等の導入である。 2)カリフォルニア州ロサンゼルスにある J. ポール・ゲティ美術館が所蔵する写本 Ms. 30(15世紀)は、『タンダールの幻視物語』のラテン語原典であるVisio Tnugdali(12世紀)を古フランス語に翻訳したもので、20点の細密画が掲載された極めて貴重な装飾写本である。R2年度は、この20点の細密画をインターネットから入手できた。 3)上記の細密画の中から特にパラダイスとの関連を持つ細密画を選定し、これらを『タンダールの幻視物語』の中英語翻訳版(15世紀)との比較研究を核として、ユダヤ・キリスト教の黙示文書、ダンテの『神曲』(14世紀)、更に13世紀頃に作成された世界地図(mappa mundi)等も取り入れて通時的かつ共時的な観点から複合的に異界研究を行うための基礎資料を準備・作成した。 4)Roger S. Wieck(1992)を読了し、写本Ms. 30 の彩色画家 Simon Marmionの特徴、ラテン語原典の誤訳等を確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究がおおむね順調に進んでいる理由は以下の諸事項による- ・J. ポール・ゲティ美術館が所蔵する写本 Ms. 30のすべての細密画20点を入手できたこと。 ・本研究課題に関連する主な研究書を入手し、研究の進展を図ることができたこと。 ・主要な作品を読み、基礎資料を整理できたこと。 ・研究遂行のために最新の機材等を入手することによって作業効率が向上したこと、等である。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度に入手した図像、文献資料等をこれから先の研究に役立て、また、写本図像と他の資料の比較研究を行うことで、中世イギリスの夢幻視文学のパラダイス描写の深層心理を探究する。
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Causes of Carryover |
R2年度は、コロナウイルス感染防止のため、国立国会図書館、その他の図書館等での研究資料の閲覧および収集ができなかった。そのため次年度は、R2年度分の研究も兼ねて図書館へ赴く回数を増やしたいからである。
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Research Products
(1 results)