2022 Fiscal Year Research-status Report
Reconsidering Religious Faith in Herman Melville's Clarel
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20K00441
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
竹内 勝徳 鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (40253918)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ハーマン・メルヴィル / 『クラレル』 / ミレニアリズム / シオニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の軸となる宗教的枠組みとしてキリスト教のミレニアリズムがあるが、『クラレル』でのメルヴィルの到達点から振り返る形で彼の初期小説におけるミレニアリズムの表れ方について調査を行なった。調査結果は「メルヴィル小説におけるミレニアリズムと労働」(Sky-Hawk, 第10号、2022年)として公表した。本論では、ミレニアリズムを研究する複数の歴史学者がメルヴィルの『ホワイト・ジャケット』(1850)の一節を引用して、これはミレニアリズムの典型であると述べている(Marty 46; Moorhead 44; Tuveson 157)点に注目した。 また、メルヴィルが扱うミレニアリズム言説は、国境を超えた労働者の拡散を訴える場合が多く、これはジョン・ブライアントが長年研究してきた巡回説教師ローレンンツォ・ダウからの影響によるものと考えられる。それはあるときは「マニフェスト・デスティニー」に連結するものとして批判され、あるときはマイノリティ文化の独自性に向かう要素として称賛される。本論ではメルヴィル文学がそのせめぎ合いの中で生成してきたことを明らかにした。 さらにこうした文学者とキリスト教のミレニアリズムの関わりについて、アメリカのプロテスタント信仰を研究したマックス・ウェーバーの調査との比較研究により、歴史上のキリスト教解釈が実態と異なって白人至上主義的に展開したことを跡付けた。これは「ミレニアリズム的資本主義と人種問題 ―メルヴィル文学を通したウェーバー批判」( 日本ナサニエル・ホーソーン協会 第 40 回全国大会シンポジウム「アメリカン・ルネサンスと白人至上主義の構築」、2022年)として、口頭発表を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
学内の役職のため、また、新型コロナウイルス感染拡大のために、海外出張が思うようにできなかったため、シオニズムとミレニアリズムの関係についての考察が遅れてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
①アメリカという国家が宗教的に作られてきたという前提のもとに、ウィリアム・V・スパノスによる一連のアメリカ例外主義批判図書(『ハーマン・メルヴィルとアメリカの天命』『例外主義者の状態と例外状態』『衝撃と畏怖』等)を読解する。この場合、スパノスにありがちな論理の単純化を他の文献で補うよう注意する。②ヒルトン・オベンジンジャー、ウィリアム・ポッター、ローラ・ロペス・ペーニャらのメルヴィルとシオニズムに関する論考を参考にする。③ダミアン・トンプソン、E・L・トゥベスン、レイ・スアレスらの著作を読み、20世紀から現代に至るミレニアリズム言説の働きについて考察する。④ミレニアリズムとシオニズムに見られる越境のダイナミズム、並びに、そこに介在する欧米の帝国主義的視野について考える。年度末には共著を出版する予定である。仮の題目は『アメリカ文学における終末論的想像力―アメリカ例外主義の展開とその方向性』であり、出版社も決定している。
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Causes of Carryover |
今年度の役職と新型コロナウイルス感染拡大により、海外出張ができなかったため。今年度はエルサレムへ出張調査に行く計画である。
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Research Products
(4 results)