2021 Fiscal Year Research-status Report
対抗文化期から遡行する冷戦期合州国表象文化(史)の研究
Project/Area Number |
20K00447
|
Research Institution | Shokei Gakuin College |
Principal Investigator |
中山 悟視 尚絅学院大学, 総合人間科学系, 准教授 (40390405)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚田 幸光 関西学院大学, 法学部, 教授 (40513908)
村上 東 秋田大学, 教育文化学部, 非常勤講師 (80143072)
大田 信良 東京学芸大学, 教育学部, 教授 (90233139)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
|
Keywords | 冷戦期 / ソフトパワー / 表象文化史 / 覇権国家 / 文化資本 / アメリカ / 対抗文化 |
Outline of Annual Research Achievements |
現在、1960年代後半の対抗文化期から冷戦期を読み直す作業に労力を傾注しており、その研究路線をそれぞれが強化・深化させるべく、研究を進めている。 世紀転換期から冷戦へ直結する文化の動きを検討するためのシンポジアム「メディア、帝国、19世紀アメリカ」にもとづいて塚田が編集者となってまとめた『メディアと帝国ーー19世紀末アメリカ文化学』(小鳥遊書房)を刊行することができ、村上、大田、中山もそれぞれ論考を寄稿した。また、ポスト冷戦期の覇権あるいはマネーとパワーの移動に端を発する歴史的変動・再編のマッピングと歴史化について、Late Modernismおよびそれ以降の研究を批判的に検討するべく、大田が企画・準備を進めてきた学会シンポジウム企画の成果として『アール・デコと英国モダニズムーー20世紀文化空間のリ・デザイン』(小鳥遊書房)が刊行された。 中山は日本アメリカ文学会関西支部のオンライン企画・シンポジウム「非日常性のアメリカ」に講師として登壇し、12月には日本アメリカ文学会東北支部において、シンポジウム「コロナ禍で読むアメリカ文学」に講師として登壇した。対抗文化のアイコンともいえるヴォネガットの小説や言説から、コロナ禍やロシアによるウクライナ侵攻で見えてきた「新冷戦」とも称される世界情勢は、まさに冷戦期の合州国表象文化史をとらえ直す格好の視点を提供する。二つのシンポジウムの延長線上にある『非日常のアメリカ文学(仮題)』については、辻和彦(近畿大学)・浜本隆三(甲南大学)が中心となり、今年度中の出版を目指して、編集作業中である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2021年度は、前年度同様に、コロナ禍の影響により海外渡航が困難となったため、海外渡航を伴う出張・リサーチ等が実施できなかったことにより、予定よりやや遅れている。 村上が、企画したシンポジアム「刻まれた断絶、忘れられた連続―プロレタリア期から冷戦を見直す」にもとづき『冷戦とアメリカⅡ プロレタリア文学はどこへ行った(仮題)』の編集作業を進めてきたが、コロナ禍で数人の作業が遅れているため2021年度中の刊行が叶わなかったが、2022年度中の早い段階での出版を目指している。 中山は『非日常のアメリカ文学(仮題)』に冷戦期を背景としたVonnegut作品に関する論考を寄稿したが、昨年度中に刊行することができなかったが、今年度中の出版に向けて現在編集作業を進めている。
|
Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍の収束時期は見えてこないものの、海外渡航への道も開かれつつあるので、今年度は各自がそれぞれのフィールドワーク・資料調査も再開したい。 また、オンラインによる学会開催の浸透と合わせて、対面による学会開催も実施される見込みであるので、これまで以上にそれぞれがオンラインも含む国内外での学会発表の機会を増やしていきたい。昨年度中に刊行できなかった共著については、今年度早い段階での出版を目指す。 中山は8月にエコクリティシズム研究学会にてシンポジウム「<その後>の世界と文学―ポストパンデミック、ポストディザスター、ポストアポカリプス」に講師として登壇する。10月上旬には日本アメリカ文学会全国大会のシンポジウム企画「カート・ヴォネガット生誕100年」に司会・講師として登壇する。このシンポジウムに基づいた共著の出版を計画していたが、コロナ禍で首尾よく進まずにきたので、これを期に出版計画を進めていく。
|
Causes of Carryover |
一昨年からのコロナ禍で海外渡航が困難になり、海外出張・リサーチ等を実施することができなかったため、次年度使用額が生じた。 2022年度は、アメリカへの渡航・出張を計画し、学会参加および資料調査を実施する。
|
Research Products
(10 results)