2022 Fiscal Year Annual Research Report
英語圏のレイト・モダニズムの理論と実践をめぐる総合的研究
Project/Area Number |
20K00451
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
佐藤 元状 慶應義塾大学, 法学部(日吉), 教授 (50433735)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | モダニズム / レイト・モダニズム / ブルームズベリー / ホガース・プレス / 世界文学 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、「レイト・モダニズム」の言説に焦点を合わせ、モダニズム研究におけるこの言説の理論的な射程と実践的な可能性について、下記の三点の視座から総合的な検証を行うものである。(a)「レイト・モダニズム」とその近接的時間概念の関係性についての批判的考察、(b)「レイト・モダニズム」の言説の歴史の批判的検証、(c)ブルームズベリー・グループの弁証法的プログラムとしての再配置。 2022年度は、上記の(a)と(b)に関係する論点、つまり「レイト・モダニズム」とはどのような時間性なのか、という問いに応答するために、国際シンポジウム Drive My Car: A Symposium on Hamaguchi's Cross-Media Vehicle を6月に日吉キャンパスで開催した。アメリカ、日本、香港、台湾、韓国の研究者が一堂に集まり、濱口竜介監督の『ドライブ・マイ・カー』について議論した。この作品は、ベケットやチェーホフ、村上春樹のテクストを主題として扱っているため、「長いモダニズム」、つまり「レイト・モダニズム」の視点からの理論的考察が求められるテクストである。私はこの4月にこのイベントの内容をまとめた『「ドライブ・マイ・カー」論』を出版した。本書は、本研究全体の柱となる「レイト・モダニズム」の理論的考察が生み出した重要なスピンオフである。 他方で、(c)に関しては、2021年度に世界文学・語圏横断ネットワークで行った研究発表「モダニズムの翻訳――ヴァージニア・ウルフの場合」を活字化し、Australasian Modernist Studies Networ 5: Cultures of Modernity, 2022 でウルフとマンスフィールドについての研究発表を行った。ブルームズベリーについての考察は「モダニズムの翻訳」という理論的な問題へと変成していった。
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