2021 Fiscal Year Research-status Report
1880年~1940年のアメリカ小説における「アメリカンガール」像の研究
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20K00454
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
新井 景子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20557194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカンガール像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な成果として次のものがある。 ①Edith Whartonが1900年代に出版したThe House of MirthとThe Fruit of the Treeについて、シスターフッドという観点から考察を行った。Whartonはフェミニズム批評において高く評価される一方、世紀転換期の女権運動からは距離を置き、19世紀の女性作家の伝統に連なることも拒んでいた。それに対し、本研究では、Wharton作品の中でいかに女性同士のつながりが慣習的なジェンダー規範を揺るがしているかを検討するとともに、女性作家の伝統とされるセンチメンタリズムがどのように機能しているかについても考察した。研究の成果は2021年5月に行われた第66回九州アメリカ文学会大会シンポジウムにて発表した。 ②Nathaniel HawthorneのThe Scarlet Letterにおける少女Pearlの役割について考察した。本研究は報告者の以前からの研究を継続させたものであり、The Scarlet Letterに登場する少女Pearlと母Hesterとのつながりがいかに作品内のピューリタン社会の家父長制を揺るがしているかを考察するとともに、Pearlの存在によっていかに作品内でのフェミニズムの議論がラディカルではなく穏やかなものになっているかを検討した。研究成果は、論文(“‘I am mother’s child’: Nathaniel Hawthorne’s Moderate Feminism in The Scarlet Letter”)にまとめ、発表した。 ③Willa Catherの"Tommy, the Unsentimental"について、当時の「新しい女性」についての資料を参照しつつ考察を行った。研究成果は論文にまとめる予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
新型コロナの影響で海外での資料調査ができなかったが、WhartonおよびHawthorneについて一定の研究成果が出せた。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基本的に研究計画に沿って研究を進める予定である。Catherについては、今年度は特に初期の作品を考察したため、来年度以降、後期の小説について考察を続けたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、海外での資料調査が行えず、未使用額が生じた。次年度請求額と合わせ、2022年度以降の海外資料調査あるいは実施できない場合は資料購入費の一部として使用する計画である。
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Research Products
(2 results)