2022 Fiscal Year Research-status Report
1880年~1940年のアメリカ小説における「アメリカンガール」像の研究
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20K00454
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Research Institution | Musashi University |
Principal Investigator |
新井 景子 武蔵大学, 人文学部, 教授 (20557194)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカンガール像 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の主な成果として次のものがある。 ①Edith WhartonのSummer (1917)について、アメリカンガール像という観点から考察を行った。本作品では、女性のセクシュアリティというテーマを扱っている点で、1910年代に流布したアメリカンガール像に共通するヒロイン像を提示しているが、一方で本小説は19世紀の感傷小説(誘惑小説)にも共通する枠組みを持っている。そこで本研究では、本小説を同時代の作品や女性像と比較しながら考察すると共に、特に19世紀の女性作家による感傷小説とのつながりについて検討を行った。研究成果として、論文を執筆中である。 ②Nathaniel HawthorneのThe Marble FaunにおけるHildaの役割について考察した。本研究は報告者の以前からの研究を継続させたものである。The Marble Faunに登場するHildaは、従来保守的な女性像として読まれてきたが、本研究では、Hildaを「海外を旅するアメリカンガール」と読むことで、Hilda像の再考を行った。具体的には、Hildaが「ヨーロッパ」と出会う中で家父長制の罪に気づく過程をたどり、彼女が作品内で示す「女性のための女性」への希求が、いかにフェミニズム的議論につながっているかを論じた。研究成果は、論文(“The American Girl Abroad: Nation and Gender in The Marble Faun”)にまとめた(2023年発行の『武蔵大学人文学会雑誌』に掲載予定である)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
WhartonおよびHawthorneについて一定の研究成果が出せたが、新型コロナの影響で海外での資料調査ができなかったこともあり、研究の進捗がやや遅れてしまったことから、当初の予定より研究期間を1年延長した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も基本的に研究計画に沿って研究を進める予定である。特にWhartonについては、19世紀の女性作家とのつながりという新しい視点から検討する重要性を感じたことから、その方向性で研究を進めたいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、海外での資料調査が行えず、未使用額が生じた。2023年度以降の海外資料調査あるいは実施できない場合は資料購入費の一部として使用する計画である。
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Remarks |
書評「増田久美子著『家庭性の時代 セアラ・ヘイルとアンテベラム期アメリカの女性小説』」、『アメリカ文学研究』59号、2023年3月、37-42頁
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Research Products
(1 results)