2021 Fiscal Year Research-status Report
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20K00464
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Research Institution | Saitama University |
Principal Investigator |
澤田 和彦 埼玉大学, 人文社会科学研究科, 名誉教授 (70162542)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ゴンチャローフ / 志賀親朋 / ピウスツキ / 亡命ロシア人 / 日露戦争 / ロシア人俘虜 / 二葉亭四迷 / 白系ロシア人 |
Outline of Annual Research Achievements |
令和3年度は主として以下の諸点に取り組んだ。 1. プチャーチン提督の秘書として1853年に長崎に来航した作家ゴンチャローフの『日本渡航記』にうかがわれる、ロシア人の観た幕末の日本及び日本人観 2. 日本最初のプロのロシア語通詞・志賀親朋の生涯と活動 3. 市川文吉、黒野義文、二葉亭四迷、川上俊彦など、東京外国語学校魯語科関係者のロシアとの関わり 4. 明治期に来日したコレンコ、グレー、ケーベルといった東京外国語学校、東京帝国大学、東京音楽学校のロシア人教師や、ピウスツキ、ラッセル、オ ルジフのような亡命ロシア人、ポーランド人の日本における事跡と日本観 5. 日本の環日本海地域、北海道と、極東ロシア、サハリンとの関わり 6. 日露戦争 7. 1917年のロシア革命後に来日した白系ロシア人等の事跡調査 第1点について講演1本、第2点について書翰の翻刻2本、第3、4、5点について著書1冊と学術論文1本と研究発表2本、第5点について学術論文1本、第6点についてロシア人俘虜のニコライ主教宛書簡の翻刻と翻訳の作業を一年間続行、第7点について単行本の分担執筆1本、その他のテーマについて書評を1本発表した。 令和2年10月に研究代表者が立ち上げた「日露交流史研究会」を、引き続き2カ月に一度オンラインで開催した。この研究会や他の研究会、学会で国内の研究者たちと緊密に連絡を取り合い、研究成果と情報の交換を行なった。また早稲田大学図書館と埼玉大学図書館で資料の調査と収集を行なった。 外国ではロシア、ポーランドなどの当該分野の研究者たちとメールなどで研究成果と情報の交換を行なった。 令和4年3月4日に拙著『ブロニスワフ・ピウスツキ伝』のポーランド語訳(ユゼフ・ピウスツキ博物館、2021年)が、ワルシャワ大学東欧研究所主催の第29回「イースタン・レビュー」賞を受賞した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度は当初予定していた12の論点のうち、7点について著書、学術論文、書翰の翻刻を発表、もしくは研究発表、講演を行ない、他のテーマについて書評を執筆した。 コロナ禍のためペテルブルグで予定されていた国際ピウスツキ会議は引き続き延期になり、ワルシャワで開催された拙著のポーランド語訳の出版記念会には出席できなかった。また外国の図書館や文書館を訪れて資料を調査、収集することもできなかった。他方、志賀親朋書翰の翻刻や、日露戦争時のロシア人俘虜のニコライ主教宛書簡の翻刻と翻訳の作業に一年間じっくりと取り組むことができた。また国内の図書館で資料を収集し、日露戦争時の大阪・浜寺のロシア人俘虜収容所跡地を訪れて、調査と資料収集を行なった。さらに「5. 研究実績の概要」で記したように、「日露交流史研究会」で日露の歴史、文学、芸術、宗教などさまざまな分野を専門とする日本人・ロシア人研究者たちと情報交換とディスカッションを行なった。 以上により、本研究課題はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は令和2、3年度の研究を続行し、その成果を踏まえながら、以下の諸点にも取り組む。 1. 1865年の幕府遣露留学生たちのペテルブルグでの事跡とそのロシア観 2. 森鴎外、田山花袋、島崎藤村、国木田独歩、小栗風葉らによる、重訳を通じての ロシア文学の受容 3. 北洋漁業と日露関係 4. 日本におけるロシア語教育の歴史 5. 近・現代日本文学の作品に表れたロシア及びロシア人のイメージ 令和5年度は令和2、3、4年度の研究を続行し、その成果を踏まえて、次の点にも取り組む。1. 日露交流史に直接もしくは間接に必然的に関わってくる、樺 太・千島交換条約の有する文化史的意義 2. 日露交流史に直接もしくは間接に必然的に関わってくる、 日露戦争の有する文化史的意義 令和6年度は最終年度として、これまでの研究を整理、総括し、研究期間内に明らかにしえた点と問題点を列挙、検討して、日本語、ロシア語、英語の3カ国 語の論文集を刊行する予定である。
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Causes of Carryover |
「7. 現在までの進捗状況」欄で述べたように、コロナ禍のためペテルブルグで予定されていた国際ピウスツキ会議が再度延期になり、ワルシャワで開催された拙著のポーランド語訳の出版記念会にも参加できず、当初予定していた外国旅費を執行することはなかった。また国内旅費も感染予防のために最低限しか執行しなかった。それらを本研究遂行のために必要な日本と外国の新刊図書と古書の購入に当てたが、なおかつ次年度使用額が生じた。 次年度の使用計画は、コロナ禍が収束に向かうようであれば、外国旅費と国内旅費に比較的重点を置き、逆にコロナ禍が依然として続くようであれば、日本と外国の新刊図書と古書の購入と謝金、最低限の国内旅費に使用する予定である。
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