2022 Fiscal Year Annual Research Report
Considerations, from the Perspective of Translation Studies, Regarding the History of German Translation Theories and Its Relationship to the History of German Thought
Project/Area Number |
20K00466
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
山口 裕之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (40244628)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | ドイツ翻訳思想 / 翻訳理論 / トランスレーション・スタディーズ / ドイツ的 |
Outline of Annual Research Achievements |
ドイツ翻訳思想の系譜をトランスレーション・スタディーズの視点から捉え直す本研究の最終年度は、全体を総括する研究というよりも、むしろこれまでの成果に基づいたより実践的な成果と考察に集中することになった。この考察は、ハインリヒ・フォン・クライストの小説における「声」の翻訳に関わる問題に焦点を当てた論考「声を翻訳する」(『総合文化研究』東京外国語大学総合文化研究所、第26号)というかたちでまとめられることになったが、この論文は同時に進めていったクライストの三つの作品の翻訳(2023年刊行予定)の作業と密接に関わっている。また、年度内に刊行された『現代メディア哲学』(講談社メチエ)は、そのものとしては翻訳とは直接結びついていないものの、ベンヤミンの思考を精密にたどる研究として、本研究を支えるものとなっている。 最終年度には、もともとドイツの研究者との共同研究を通じて、より包括的な視点での研究の展開が予定されていたが、その時期に日本でcovid19が爆発的に拡大したために海外渡航を断念せざるを得なかった。しかし、3年間の研究機関全体を通じて、テーマに沿った論文を毎年発表した他、テーマに直接・間接にかかわる著作2点、翻訳1点、共編書1点を刊行し、また2023年度内にこの研究の成果の延長上にある翻訳がさらに刊行される予定である。 また、本研究を受けて次の研究のステップが、この研究期間内に計画されることになった。具体的には、 (1) 2023年度前半、ロンドン大学SOASのCentre for Translation Studiesでの研究滞在 (2) クライストの翻訳(継続) (3) 編集文献学の視点とトランスレーション・スタディーズの視点を交差させる共同研究に基づくカフカの翻訳、である。
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Research Products
(3 results)