2021 Fiscal Year Research-status Report
近代フランスにおける中世キリスト教美術受容とテクスト:宗教・科学・文学
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20K00467
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
加藤 靖恵 名古屋大学, 人文学研究科, 准教授 (90313725)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | フランス近現代文学 / 中世宗教美術研究 / 偶像崇拝 |
Outline of Annual Research Achievements |
19世紀後半から20世紀初頭の宗教観の変遷に関して,科学技術の発達と産業革命に契機する物質文明の確立,また政教分離による教育改革の影響という2面を中心に調査と考察をすすめた。特に,フランスにおける文学研究で近年注目されている静物画のテーマ(美術だけでなく,文学作品における描写の変化)に着目し,商品や日常生活で消費されるオブジェのディスプレイと供儀祭儀の関連について,最新研究成果を整理するとともに,バタイユ等の理論の見直しを行った。さらにシャルダンの静物画の美術批評界での受容の変遷と19世紀末の文学,特にエミール・ゾラ等の自然主義文学における描写との連関についても資料収集,調査と考察を行った。さらに関連するプルーストの言説の生成過程の見直しをこなった。成果は論文の形で2022年度中に発表する準備を初めている。 キリスト教祭儀における偶像崇拝についての海外調査は,本年度もコロナ禍で実施することができなかった。これまで写真やデジタル画像で収集した資料の整理を続け,データーベース作りの準備を継続中である。特に重点をおいているのは,キリスト教美術における人物表象に基本的に懐疑的であったラスキンのデッサン中における人物像(頭部あるいは全身像)であるが,これについては2019年冬にランカスターのラスキンセンターで行った資料収集に際に閲覧できなかったものがあるので,そのリストアップも進めている。エミール・マールの手稿についても同様の方向で,これまで集めた画像の整理を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究遂行の要である海外(フランスとイギリス)現地調査が今年も不可能だったため。ただし,フランスでの文学美術研究の最新状況を反映させた新たな展望を得ることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
中世宗教美術の関するエミール・マールやラスキンの草稿やデッサンについて,これまで収集した資料の整理を完了させた上で,人物造形を中心とする新たな資料の収集を現地で行う。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で海外調査ができなかったため。
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Research Products
(2 results)