2021 Fiscal Year Research-status Report
詩人にして『百科全書』の寄稿者、ジャン＝フランソワ・ド・サン＝ランベール
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20K00478
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| Research Institution | Keio University |
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Principal Investigator |
井上 櫻子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 准教授 (10422908)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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| Keywords | フランス文学 / フランス思想 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2021年度は、世界的な新型コロナウィルス感染拡大のため、当初予定していたようにフランスに渡航し、フランス国立図書館、および学士院図書館にて資料収集を行うことができなかった。とはいえ、本務校の図書館の蔵書やフランス国立図書館の運営する電子図書館ガリカを活用し、研究成果をまとめるように努めた。まず、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』、アベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』、「ファム・ファタル」についての解説をミネルヴァ書房刊行の単行本『フランス文学の楽しみかた』に発表した。また、研究代表者は2017年度から『百科全書』の項目をもとに、サン＝ランベールの道徳思想について解明する試みを続けてきたが、2021年度は特に項目<HONNETE>に注目し、彼の政治思想と道徳思想の関連性について検討した。そして、その成果を本務校の刊行する紀要『藝文研究』への投稿論文の形で発表した。2022年度にはフランスでの文献調査を行い、サン＝ランベールの政治道徳思想研究の精度をより高めることを目指したい。加えて、研究代表者が所属するフランスの共同研究班『百科全書』電子批評版プロジェクトチームが開くセミナーで口頭発表を行うこととする。また共同研究班メンバーによる査読を経て、同プロジェクトチームが運営するサイトにも研究成果を発信したい。
さらに、ルソーの『新エロイーズ』に見られる感受性の諸相について、同時代の詩人の著作との関連から明らかにしようとするための調査を行った。その成果は、2022年度に刊行される単行本への寄稿論文の形でまとめる予定である。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2021年度は、2020年度に引き続き、新型コロナウィルス感染拡大のため、当初予定していたフランス国立図書館および学士院図書館での資料収集を進めたり、フランスで開催されるセミナーや国際集会での研究発表を行ったりすることができなかった。その意味では、不可抗力とはいえ、当初の予定通りに円滑に研究を行える環境になかったと言える。
しかしながら、2021年度初頭には、ルソーの『孤独な散歩者の夢想』やアベ・プレヴォーの『マノン・レスコー』、そしてフランス文学における「ファム・ファタル」の主題について研究代表者が複数年にわたり考察してきた結果を単行本収録の解説という形で、広く一般読者に公開することができた。また、『百科全書』の項目＜HONNETE>に注目し、日本で入手できる文献を活用してサン＝ランベールにおける政治思想と道徳思想の関連性について検討し、紀要論文の形で成果発信することができた。この論文執筆をもって、2022年度以降、フランス渡航および現地での資料収集が可能となった場合、サン＝ランベールが『百科全書』に寄稿した政治、道徳思想関連の項目について、すぐに掘り下げた典拠研究を開始する体制が整えられたと言える。さらに、ルソーの『新エロイーズ』における感受性の諸相について、この小説が執筆された時期に人気を博した韻文との関連性から検討を進め、論文にまとめる準備もできた。こうした観点からすると、本研究課題の進捗状況はおおむね順調であると判断される。
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| Strategy for Future Research Activity |
ワクチン接種が進んだ結果、2022年度はフランス渡航が可能になることが予測される。その場合、フランス国立図書館、および学士院図書館での資料収集を進め、『百科全書』にサン＝ランベールが寄稿した政治、道徳思想関連項目の典拠研究を進めることとする。そしてその成果を、まず本務校の刊行する紀要『慶應義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学』への投稿論文としてまとめる。さらに、フランスの共同研究班『百科全書』電子批評版プロジェクトチームの開催するセミナーで口頭発表を行い、現地の専門家との意見交換を試みたい。また、共同研究班メンバーの査読を経て、同プロジェクトチームの運営するサイト上に典拠研究の成果を公開することも目指したい。『百科全書』におけるサン＝ランベールの執筆項目については、これまでまとまった研究がなされてこなかった。しかし、彼の執筆項目の中には「立法者」をはじめとして、当時の政治思想を知る上できわめて重要なテクストが含まれる。したがって、サン＝ランベールの政治道徳思想研究は、ルソーやモンテスキューといった著名な思想家の作品に注目するのみでは明らかにされない18世紀の思想家たちの関心事を捉え直すことを可能にしてくれるだろう。
また、このサン＝ランベール研究と並行して、ルソーと同時代の詩人たち著作との関連から『新エロイーズ』における感受性の諸相について検討し、単行本への寄稿という形で広くその成果を発信したい。
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| Causes of Carryover |
当初、フランスへの渡航、および現地調査を予定していたが、新型コロナウィルス感染拡大のため、国外出張ができなくなった。そのため、次年度使用額が生じている。2022年度はフランスでの資料収集のため使用し、研究の精度を高めたい。
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Research Products
(1 results)
