2022 Fiscal Year Research-status Report
詩人にして『百科全書』の寄稿者、ジャン＝フランソワ・ド・サン＝ランベール
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20K00478
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| Research Institution | Keio University |
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Principal Investigator |
井上 櫻子 慶應義塾大学, 文学部(三田), 教授 (10422908)
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| Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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| Keywords | フランス文学 / フランス思想 / 道徳論 / 『百科全書』 |
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| Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、まず、サン＝ランベールが『百科全書』に寄稿している道徳関連項目に注目しながら、彼とディドロの人間論の関係を検討することに専念した。その成果の一部を、本務校の刊行する紀要『慶應義塾大学日吉紀要 フランス語フランス文学』に発表した（「サン＝ランベールとディドロの無記名項目：『百科全書』項目「称賛＜LOUANGE＞」、「称賛する＜LOUER＞」を中心に」）。本紀要論文は、研究代表者が6年間にわたり、「利益」、「作法」、「名誉」、「オネット」といった『百科全書』の項目に注目しながら進めてきたサン＝ランベールの道徳論研究の延長線上にあるもので、ここ数年間の成果をまとめるものとなっている。
さらに、今年度は18世紀英文学の専門家である上智大学教授小川公代氏から依頼を受け、ルソーの『新エロイーズ』に見られる感受性の問題に関する論考（「ポウプ、コラルドー、そしてルソー ー『新エロイーズ』における感受性の諸相」）を、論集『感受性とジェンダー ＜共感＞の文化と近代ヨーロッパ』（小川公代、吉野由利編、水声社、2023年）に寄稿した。この論考は、研究代表者が描写詩における自然描写や感性論について考察を進めてきた成果を踏まえ、ルソーの長編小説を読み直そうとするものである。そして、18世紀に人気を博しつつも、その後忘れ去られたフランスの詩人たちの作品を読み直す必要性を浮き彫りにするものともなっている。
また、2022年度は3年ぶりにフランスに渡航し、フランス国立図書館にてサン＝ランベールが『百科全書』に寄稿した項目の典拠研究を進めることができた。その成果は、近く本務校の刊行する紀要への投稿論文の形で発表したい。
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| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
サン＝ランベールの道徳論に関する論考を学術雑誌に投稿するのみならず、ルソーと18世紀の詩人との関係を考察した論考を一般書に寄稿できたことは、研究代表者の成果を広く国民に向けて発信する上で、重要な意味を持つと言えるだろう。論集の執筆、編集作業中には、18世紀英文学の専門家との意見交換ができ、新たな研究ネットワークの構築につながったと考えられる。また、コロナ禍の影響により、2020年度、2021年度と断念せざるを得なかったフランスでの資料収集が行えたことは、本研究課題の進捗にプラスに働くだろう。したがって、本研究課題は概ね順調に進展していると言える。
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| Strategy for Future Research Activity |
2023年度前半は、2022年度にフランス国立図書館で収集した資料をもとに、サン＝ランベールが『百科全書』に寄稿した道徳関連項目と彼の思想的著作との関連について検討し、その成果を本務校の刊行する紀要への論文投稿の形で発表したい。
また、サン＝ランベールの人間論に関する研究の精度を高めるため、夏季休暇中にはフランス国立図書館、フランス学士院図書館にて資料収集を行う。そして、2023年度後半には、フランスの『百科全書』電子批評版プロジェクトチームが開催するセミナーで口頭発表を行いたい。
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| Causes of Carryover |
2020年度、2021年度とコロナ禍によりフランスへの渡航、現地での資料収集が行えなかった。2022年度は3年ぶりにフランス国立図書館での資料収集が可能となったが、研究の精度を高めるべく、2023年度まで研究期間を延長し、より手堅い文献調査を行い、考察を深めたいと考えた。
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