• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2020 Fiscal Year Research-status Report

ベストセラーから見たナチス・ドイツの文学空間

Research Project

Project/Area Number 20K00500
Research InstitutionKagoshima University

Principal Investigator

竹岡 健一  鹿児島大学, 法文教育学域法文学系, 教授 (30216874)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2023-03-31
Keywordsナチス時代 / 第三帝国 / ドイツ文学 / ベストセラー / 文学空間 / 文学受容
Outline of Annual Research Achievements

本研究の目的は、本の刊行数に基づいてナチス時代のベストセラーを突きとめ、それらを詳しく考察することにより、当時のドイツに自由で多様な文学受容の余地があったことを明らかにすることにある。令和2年度には、研究計画に基づいて研究を進め、次のような成果を得た。
(1) 予備的研究の結果を踏まえ、先行文献やドイツ国立図書館の図書目録等の書誌情報を詳しく検討した上で、ナチス時代のベストセラーの上位100タイトルを選定し、内容的な特色の解明に適した分類を行った。それにより、ベストセラーの上位100タイトルに含まれる作品数は、非イデオロギー的な作品が75、イデオロギー的な作品が25となり、ナチス時代の文学の主流はナチズムの思想信条に基づく著作ではないという予想通りの結果が得られた。
(2) 以上の結果を受け、資料収集の状況等も考慮して、実録的・実用的著作と青少年文学について内容的な特色の検討を行い、全体的な特色を分析するとともに、代表作品を詳しく考察した。その際、一見非政治的とみえる文学の中にもナショナリズムと共鳴する要素が含まれている可能性があるという意外な結果も得られた。
これらのうち、(1) については、本年度口頭発表を行い、反響を得た。 (2) については、次年度中に口頭発表と印刷発表を行う予定である。
なお、今年度は、ライプツィヒのドイツ国立図書館での資料収集とライプツィヒ大学書籍学研究所での研究動向調査も予定していたが、新型コロナウイルスの影響により断念せざるを得なかった。これについては、国内で収集が可能となった資料をより詳しく分析することで補うとともに、より充実した調査・収集を行うための予備調査の期間を延長したものと考え、渡航制限の解除時に迅速に対応できるよう準備をして行く。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

次の3つの理由から、おおむね順調に進展していると判断した。
(1) 暫定的な段階ではあるが、ナチス時代のベストセラーの上位100タイトルを選定し、内容的な特色の解明に適したジャンル分けを行い、その成果について口頭発表を行うとともに、各ジャンルの考察へと研究を進めることができた。
(2) 実録的・実用的著作と青少年文学の特色を解明する上で、K・A・シェンツィンガーの『アニリン』(1936年)と、B・ボンゼルスの『ミツバチ・マーヤの冒険』(1912年)について詳しい考察を行い、次年度中にその成果を口頭発表・印刷発表する準備を整えることができた。
(3) 上記2作品の考察において、一見非政治的とみえる文学の中にもナショナリズムと共鳴する要素が含まれている可能性があるという意外な結果も得られ、今後の研究を進める上で大きな意味を持つ新しい視点を獲得することができた。

Strategy for Future Research Activity

1. 令和3年度から令和4年度前半には、残るすべてのジャンルについて、全体的な特色を分析するとともに、代表作品を取り上げて詳しく考察する。また、渡航制限が解除され次第、ライプツィヒのドイツ国立図書館での資料収集とライプツィヒ大学書籍学研究所での研究動向調査を実施することとし、より充実した調査・収集が実施できるように、十分な予備調査を行う。と同時に、最終的に渡航ができない場合に備えて、必要な調査・収集を遠隔で実施する可能性についても検討する。
2. 令和4年度後半には、各ジャンルの考察を総合し、ナチス時代の文学の特色を明らかにした上で、研究成果の総括を行う。予備的研究で得られている仮説を考慮しながらも、本研究で得られた新たな知見に基づいて十分検討した上で、最終的な結論を導く。
3. 最後に、本研究全体の成果を総括する報告書を作成し、配布するとともに、ホームページを通じて広く公開する。

Causes of Carryover

次年度使用額が生じた理由:新型コロナウイルスの影響と同時に、より充実した調査・収集を行うために準備期間を延長する必要から、ドイツへの渡航を延期したため、次年度使用額が生じた。
使用計画:ライプツィヒのドイツ国立図書館での資料収集とライプツィヒ大学書籍学研究所での研究動向調査に充てる予定である。

  • Research Products

    (2 results)

All 2020 Other

All Presentation (1 results) Remarks (1 results)

  • [Presentation] ナチス時代のベストセラーについて2020

    • Author(s)
      竹岡 健一
    • Organizer
      日本独文学会西日本支部学会
  • [Remarks] researchmap 研究ブログ

    • URL

      https://researchmap.jp/k_takeoka/research_blogs

URL: 

Published: 2021-12-27  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi