2022 Fiscal Year Research-status Report
ジェンダーの視点から見た19世紀フランス文学とモード、美術との相関性
Project/Area Number |
20K00501
|
Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
村田 京子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (60229987)
|
Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
|
Keywords | 19世紀フランス文学 / ジェンダー / モード / 美術 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的(「19世紀フランス文学とモード、および当時のモードやジェンダー観を反映した美術作品との相関性を、小説構造や小説美学と密接に関連させて分析する」)に基づき、まず、バルザックの『骨董室』『カディニャン公妃の秘密』を取り上げた。『人間喜劇』において「モードの女王」として登場するモーフリニューズ公爵夫人(後のカディニャン公妃)が「服装の記号学」を駆使して自分のなりたい女性に変貌していくかを探った。それと同時に、服装という「無言の言語」だけではなく、言葉そのものを駆使して「新しい自己」を創造する過程を探り、紀要論文にまとめた。 次に、2021年9月に日仏会館で開催されたシンポジウム「文学作品に現われたフランス革命」において、口頭発表を行ったが、その発表原稿に基づいた論文集『作家たちのフランス革命』(白水社)が2022年7月に刊行された。その中で筆者は「スタール夫人はなぜ、ナポレオンの怒りを買ったのか――スタール夫人『デルフィーヌ』『コリンヌ』」というタイトルの論考を掲載し、シビュラの衣装を着て古代の二輪馬車に乗って登場するコリンヌの姿が、当時のナポレオンへの密かな批判、さらにはナポレオンへの挑発になっていることを明らかにした。 さらに、2023年3月の国際女性デーの記念シンポジウム「女性と表象:服飾、モード、ジェンダー」(日仏女性研究学会主催)において、筆者も共催(科研費で一部負担)の形で参加し、「ゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨店』における「女性の搾取」―「頭のないマネキン人形」―」というタイトルで口頭発表を行った。デパートは、19世紀後半の大衆消費社会の出現によって誕生するが、本発表ではデパートが女性客たちの服飾品への購買欲をいかに掻き立てていったのか、「頭のないマネキン人形」をキーワードに読み解いた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度の計画通り、ゾラの『ボヌール・デ・ダム百貨店』を取り上げ、モードとの関係をジェンダーの視点から考察し、国際シンポジウムで口頭発表した後、発表内容をさらに発展させる形で論文にまとめた。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究の最終年度にあたるため、これまでの研究成果をまとめて総括した上で、学術書の形で出版し、研究成果を一般に公開する。
|
Causes of Carryover |
コロナ流行およびウクライナ戦争のため、予定していたフランスでの国際学会への参加ができなかった。2023年度にフランスでの学会等に参加予定で、その渡航費にあてる予定である。
|