2023 Fiscal Year Annual Research Report
ジェンダーの視点から見た19世紀フランス文学とモード、美術との相関性
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20K00501
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Research Institution | Osaka Metropolitan University |
Principal Investigator |
村田 京子 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (60229987)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 19世紀フランス文学 / モード / ジェンダー / 絵画 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度の研究成果としては、①フランス革命末期の反革命運動を扱ったバルザックの『ふくろう党』を取り上げ、服装と革命の関わりを分析したものをフランス語論文にまとめ、論文集(オンライン)に掲載した。②2023年3月の国際シンポジウム「女性と表象:服飾、モード、ジェンダー」(於 日仏会館)で口頭発表した内容を論文にまとめ、紀要に掲載した。③19世紀フランスのオペラ歌手ポリーヌ・ヴィアルドの生涯と作品を取り上げ、ジェンダーの視点から分析した論文を共著として出版した。 また、2023年11月に4年間の研究成果を本にまとめ、『モードで読み解くフランス文学』というタイトルで水声社から出版した。まず、19世紀フランス文学において、服装は職業・生活・習慣・性格を表す記号となっていることを示した上で、19世紀フランス文学を服装やモードを通して、社会的・歴史的・文化的観点およびジェンダーの視点から読み解いた。 その内容は以下の通り。 第1章「フランス革命とモード――バルザック『ふくろう党』、第二章「変装する女性――ジョルジュ・サンド『アンディヤナ』」、第三章「ダンディへの変貌――バルザック『幻滅』」、第四章「『人間喜劇』における「モードの女王」――バルザック『骨董室』『カディニャン公妃の秘密』」、第五章「第二帝政期の社交界の若い娘――エドモン・ド・ゴンクール『シェリ』」、第六章「デパートによる「女性の搾取」――ゾラ『ボヌール・デ・ダム百貨店』」 こうした分析を通して、19世紀前半のフランスでは貴族階級の上品な女性がエレガンスの規範となっていたが、後半になるとブルジョワ階級の女性が「モードの女王」となり、贅沢で派手なモードを推進し、最後には大衆消費社会の幕開けとして、デパートが誕生し、女性たちを消費に駆り立てたことを明らかにした。
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