2022 Fiscal Year Research-status Report
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20K00505
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
時田 郁子 成城大学, 文芸学部, 准教授 (60757657)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 四大精霊 / 大航海 / ベルリン |
Outline of Annual Research Achievements |
18ー19世紀転換期のプロイセンの政治的・文化的状況について調査した。ベルリンに焦点を当て、軍隊と官僚の制度、経済政策、移民政策を踏まえ、学術都市と化していく経緯を考察した。 プロイセンの発展に平行して、ドイツ語圏において中世文化や民衆文化への関心が広まったことを確認し、ロマン派詩人たちの四大精霊(地・水・火・風)をテーマにした作品を考察した。具体的には、地の精に関して、当時最先端の学問だった鉱山学の役割を踏まえ、ノヴァーリスの『青い花』とティークの『ルーネンベルク』を分析した。水の精に関して、フケーの『ウンディーネ』とホフマンによるオペラ化、ハイネの『ローレライ』を考察対象にした。火の精に関して、ゲーテとホフマンにおける酒の扱いとホフマンの『黄金の壺』の火蜥蜴を取り上げた。風の精に関して、ヘルダーの詩『ハンノキの王の娘』とこれに影響を受けたゲーテの詩『ハンノキの王』を比較し、気球の有人飛行の成功を経た19世紀のホフマン作品における歌姫が新しい時代の風の精であることを検討した。 四大精霊は身近な自然の擬人化と言える。身近なものに気づくのは、遠方の自然に考えが及んだときである。18世紀後半にはヨーロッパ人が次々に世界周航を行い、その報告が熱狂的に読まれた。本研究ではドイツ語圏の航海者、ゲオルク・フォルスター、アレクサンダー・フォン・フンボルト、アーデルベルト・シャミッソーを取り上げるため、その前提として、ヨーロッパが大航海に乗り出した条件と経緯を、歴史を遡って探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
夏期休暇中にドイツの図書館に資料調査に行き、フンボルトの生家、シャミッソー博物館、ベルリン植物園、フケーが暮らした家など詩人たちに縁の場所を訪問するつもりだったが、海外渡航が難しかったため、集中的に文献調査に取り組むことにし、こちらを予定通り進めることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
フォルスターとフンボルト、シャミッソーの旅行記を分析して、彼らの自然観を輪郭付け、それらがどのように受容されたのかを探る。 これまでの研究で対象にしたのは人間の外に広がる「自然」であったが、19世紀初めには、人間の内に存する「自然」に関心が広がっていった。メスメリスムの流行を踏まえ、クライストとホフマンにおけるメスメリスムの変奏を検討し、この時期に進展した化学的発見の数々を踏まえゲーテにおける人造人間を考察する。 本研究の成果を本にまとめる予定である。
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Causes of Carryover |
海外情勢が安定せず、ドイツへの調査出張を行うことが出来なかった。状況が許せば、図書館への調査に行きたいが、難しい場合は、可能な限りの資料を取り寄せて文献調査を進める予定である。
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Research Products
(1 results)