2020 Fiscal Year Research-status Report
Recherches genetiques de l'oeuvre de Flaubert - femme fatale et fatalite dans les premiers romans de Flaubert
Project/Area Number |
20K00510
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
大鐘 敦子 関東学院大学, 法学部, 教授 (50350541)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | フローベール / 草稿研究 / ファム・ファタル / 聖アントワーヌの誘惑 / 初期作品 / 中期作品 / ファタリテ / 宿命感 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である本年度は、パンデミック(コロナ禍)のために例年実施してきた海外での草稿調査を履行できず、いくつもの国際会議参加が中止されたため、国内での作業に徹した。「ファム・ファタル」および「ファタリテ」の言説に関しては、フローベール におけるファタリテの観念とキリスト教的宿命観、ギリシャ的宿命観を整理するとともに、今後の転記の方向を検討した。中期作品の中には、草稿が公開されていないものもある。 研究実績としては、2020年3月に海外で公開したLes Memoires d’un fou のtranscritpions diplomatiques について、2021年1月の国内論文において、宿命(fatalite)や運命(destin)の語がこの作品でどう扱われたかについて引き続き考察している。 ファム・ファタルに関しては、2020年6月のリヨン国立科学研究所および高等師範学校CNRS-ENS Lyonフローベール 生誕プレ・二百周年国際会議「フローベール に基づいて」(D’apres Flaubert)に招聘され、全ての準備が進んでいたが、フランスでのコロナ禍のため直前に中止になった。そのため、この会議の記念論集にフローベール 『ヘロディアス』とマスネ『エロディアード』の比較研究が掲載される予定である。この論文では初めてマスネの楽譜等の草稿も分析した。また、参加が決定していた2021年4月のチュニジアでの国際会議は国外に渡航できず、辞退した。 二百周年記念論文集の海外での出版のため、フローベール 草稿研究の泰斗Eric Le Calvez教授と15本近くの新傾向の論文や資料を編集するとともに、初期・中期・後期に3版がかかわる『聖アントワーヌの誘惑』全三版を通じてのファム・ファタルの一人、「シバの女王」の形象についての論考をまとめた。2021年度に海外で出版される予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
パンデミック(コロナ禍)のために、海外での草稿調査ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
パンデミックが世界的に終息すれば、海外の図書館での文献および草稿調査が可能になるので、初年度の分も調査をする予定である。
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Causes of Carryover |
パンデミックのため、海外での草稿調査ができなかったため、出張費の支出が今年度は不要となり、次年度以降の出張費として繰り越した。フローベール の生誕二百周年記念委員会は、「パンデミックで多くの行事の中止が相次ぐため、2021年の記念の年を半年延長する」と発表したので、次年度の研究出張や国際会議参加を見越して繰り越すこととした。
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