2021 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの詩人、阮攸の燕行漢詩集に関する基礎的研究とそれに基づく朝貢ルートの解明
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20K00516
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
野平 宗弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80711803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム文学 / ベトナム漢文学 / 燕行文学 / 阮攸 / Nguyen Du |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、阮攸が1813年から1814年にかけて中国北京に赴きそして帰国した際の、往復のルートについて、彼が残した『北行雑録』という漢詩集および現地調査に基づきながら実証的に検証し、彼が臨安に立ち寄ったとされる従来の説とは異なるルートの実証的な解明を目指すものである。 しかしながら、新型コロナの影響で、海外渡航が不可能となり、予定していた中国、ベトナム、フランスでの調査ができないまま2年が経過することとなってしまった。 その分、日本にいながらできることととして、ベトナムにおける漢文学、中国文学の影響についての研究を進め、武田雅哉 , 加部勇一郎 , 田村容子 (編)『中国文学をつまみ食い』, ミネルヴァ書房, 2022年の執筆者の一人として、ベトナムにおける漢文学について阮攸を中心に取り上げながら執筆した。これにより、ベトナムが、歴史的に見れば中国文化からの影響が強く、漢文学がひとつの権威として歴史的に20世紀に至るまで続いてきた事実を明示した。また、中国白話小説を元にしつつ、それを阮攸がベトナム語で独自の詩世界へと創造することで、中国が舞台で登場人物も中国人の小説が、ベトナムではそれがあたかもベトナム独自の文学作品であるかのように読まれていることを明らかにし、また、阮攸は、国や貴賤の区別とは関係なく、詩人としての強い感性から屈原や中国の貧者たちにも共感を寄せていることも示した。 その他、阮攸の仏教思想に関して優れた考察を行ったファム・コン・ティエンについて、なぜ彼が西洋近代を批判したのか、西洋近代にはない仏教思想の可能性とは何かについて、英語で研究発表を行った。これは阮攸を直接論じたものではないが、阮攸の思想にも強く表れている仏教思想の考察へとつなげられる問題系であると考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
新型コロナの影響で、海外渡航が不可能となり、予定していた中国での現地調査、ベトナムおよびフランスでの資料調査、資料収集ができないまま2年が経過することとなった。
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Strategy for Future Research Activity |
資料調査、資料収集を予定しているベトナムおよびフランスについては、近いうちに現地渡航ができると予想されるので、できるだけ早めに当地での調査、資料収集を行いたいと考えている。加えて、阮攸の漢詩集の翻訳も進めていきたい。 中国での現地調査は、新型コロナの状況を見極めて、外国人の渡航が容易になり次第、渡航して調査を実施したいと考えている。
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Causes of Carryover |
新型コロナの影響で、海外での調査ができなかったため繰り越しが生じている。新型コロナによる入国制限の緩和がベトナムおよびフランスではなされているため、ベトナムおよびフランスでの資料調査、資料収集のために、今後使用する計画である。
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