2022 Fiscal Year Research-status Report
ベトナムの詩人、阮攸の燕行漢詩集に関する基礎的研究とそれに基づく朝貢ルートの解明
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20K00516
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
野平 宗弘 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (80711803)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | ベトナム文学 / ベトナム漢文学 / 燕行文学 / 阮攸 / Nguyen Du |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、阮攸の燕行ルートの解明を目的とするもので、その解明のためには、中国で彼が立ち寄ったと推測される場所での現地調査、具体的には、漢詩の内容との対応について調査する必要がある。しかしながら、新型コロナの影響で、まだ中国への渡航規制が厳しかったため、中国現地での朝貢ルートの調査は依然としてできなかった。 ただし、ベトナムへの渡航は容易になったため、ベトナムでの資料収集をおこなうこととし、阮攸の漢詩関連資料の他、他の人物たちの燕行資料を収集し、現在、分析を進めている状態である。現在作業が遅れている阮攸の漢詩集『北行雑録』の日本語訳についても、今後進めていく予定である。 阮攸に関する資料を調査する中で、Maurice Durandの書いたMelanges sur Nguyen Du, 1966の中に、EFEO A.3079という記号の付された『北行雑録』の写本および同記号の『南中雑吟』の記載があるのを今回発見したものの、このEFEO A.3079という資料の所在がまだ不明のままである。これが現在公表されている阮攸の漢詩集と同じ本なのかどうか、フランスでの資料調査も視野に入れ、今後さらなる調査を進めていきたいと考えている。 加えて、ベトナム現地での資料収集では、阮攸の字喃作品「十類衆生祭文」収録経典の複写本を入手することができた。この資料の文献批判と、この資料を通じての阮攸の漢詩と字喃詩に反映された彼の仏教思想の特徴の解明へと繋げていきたいと考えている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
コロナ禍で、中国への渡航が困難で、現地調査ができなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
新型コロナによる中国への渡航の規制が緩和されてきたので、タイミングを見て、中国現地、特に、河南省の岳飛廟へと赴き、阮攸の漢詩に描かれた岳飛像と対比や、ベトナム人が立ち寄った痕跡などを調査したいと考えている。 また、フランス国立図書館に残されている阮攸の漢詩資料についても現地で調査したいと考えている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で中国での現地調査ができなかかったため。
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