2023 Fiscal Year Annual Research Report
Poetics of Laughter and Requiem: Noh/Kyogen and Ireland〜W.B. Yeats, Lafcadio Hearn and Ezra Pound
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20K00520
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
真鍋 晶子 滋賀大学, 経済学系, 教授 (80283547)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | W.B. イェイツ / エズラ・パウンド / 小泉八雲(ラフカディオ・ハーン) / 能狂言 / 笑い / 鎮魂 / 詩学 |
Outline of Annual Research Achievements |
以下2点を検証した。1)狂言の「笑い」と能の「鎮魂性」が共にイェイツとエズラ・パウンドの作品に如何に昇華されているかを、tragic joy、paradiso terrestreをキーワードに見極める。2)上演が難しいとされるイェイツの劇および、既存研究がほぼないパウンドの「狂言」の能楽公演の可能性を探る。また、二人の同世代人ハーンは日愛の異界・聖なるものについて独特の切り口を与える。本研究はtragedy、comedy、tragi-comedyという既存演劇の境界、西洋と日本の境界を超えた作品の現代的意義と普遍性の検証にもなる。代表者はイェイツ、ハーンの作品に基づく新作狂言公演を以前国内外で企画運営したが、本研究でも実演に接し、役者と連携することを一支柱とし、机上のみでは得られない知見を展開する。 コロナ禍で計画変更を余儀なくされたが、4年度は国内、5年度は国際学会で対面の発表を再開した。パウンドの国際学会で、死に近い悲劇の武将を主人公とする能『景清』の_Cantos_における「鎮魂性」及び「笑い」を、イェイツの国際学会で、その演劇における英雄の悲劇的最期(鎮魂)に絡む「笑い」について発表し、本研究の総括とすると同時に次期研究へ繋いだ。後者では本研究の一大成果である論文が収録された_Oxford Handbook of W.B. Yeats_についてのRound Tableで、その演劇と能楽の影響に加え、イェイツ演劇の能楽への影響を紹介し反響を得た。また二人への狂言の影響についての口頭発表の論文化が学会誌に掲載され、本研究の総まとめとなった。またイェイツ劇内の英雄クー・フリンを殉教と笑いの観点で口頭発表した論文要旨を学会誌に投稿し英雄、聖性、周縁者研究に発展させる一歩を記した。京滋は能楽公演再開が早かったため、本研究に資するものに出向き、また能楽師への聞き取りを継続した。
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Research Products
(12 results)