2021 Fiscal Year Research-status Report
An interdisciplinary and theoretical study on translation, footnote, and creativity
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20K00527
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Research Institution | University of Kochi |
Principal Investigator |
高西 成介 高知県立大学, 文化学部, 教授 (50316147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 善成 金沢大学, 歴史言語文化学系, 教授 (60364139)
田中 裕也 高知県立大学, 文化学部, 准教授 (30769138)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 注釈 / 翻訳 / 中国文言小説 / ハーマン・メルヴィル / 三島由紀夫 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は、昨年度に引き続き個別研究をそれぞれ進めると同時に、翻訳と注釈をめぐる問題について、共同研究をすすめるための下準備を行った。今年度も移動を制限される時期が長く、調査を進めていく上では困難が伴った。しかし、12月と3月に対面で研究会を実施することができ、議論を行うことができたことは幸運なことであった。これは、最終年度に向けて研究を進めるための重要な意義を持つものになったように思われる。なお、個別研究は以下の通りである。 高西は、昨年度に引き続き明治から昭和初期にかけての中国の古小説に関する翻訳、及び中国小説の英語訳に関する資料の収集を進めた。そのなかで、今年度は特に『聊斎志異』とその日本語及び英語による翻訳・注釈に焦点を当てて研究を進め、その成果を2回の研究会で報告を行った。山口は、ハーマン・メルヴィル『詐欺師』の翻訳つき論説書の出版準備を進めながら、併せて同じくメルヴィル「バートルビー」の翻訳、注解を作成した。後者は勤務校の文学科目で使用する教科書の一章として発表した。さらに、出版が遅れていた論集『物語るちから』を2021年8月に出版した。田中は、フランスにおける三島由紀夫文学についてフランスでの翻訳状況を、フランス国立図書館での作品要約と出版社の装丁の変化から分析をおこない、研究会で報告を行った。 また、3名の共同研究として蒲松齢『聊斎志異』を取り上げ、高西が中国文学の立場から作品分析と注釈および批評の分析を行い、山口が『聊斎志異』の英訳であるHerbert Allen Gilesの“Strange Stories from a Chinese Studio”の翻訳と注釈を検討、田中が日本における『聊斎志異』の翻訳について通時的な分析を行った。その上で、これらの個別研究成果を研究会に持ち寄り3名で議論を行い、最終年度の領域横断的分析に向けた基盤作りを行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウイルス感染拡大のなか、研究が2年目となり当初の遅れを徐々に取り戻しつつある。しかし、図書館等での文献調査があまり行えておらず、資料収集の面で少し遅れが生じている部分がある。とはいえ、研究会を予定通り実施することができたこと、高西と田中が同一機関に勤務しているため、日常的に研究の交流ができたこと、などの理由から、研究は最小限の遅れに止められている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、昨年度までに引き続き個別研究を中心に研究を行うとともに、昨年度行った日・中・英米文学における「注釈」「翻訳」の横断的研究を、さらに深化させる予定である。また、この2年間実施がほとんど実施ができてこなかった実地調査・研究を行う準備を進めている。具体的には、高西が国会図書館や国立公文書館において、『聊斎志異』を中心とした中国文言小説の明治・大正・昭和期の翻訳文献の調査を、田中が三島由紀夫文学館において『仮面の告白』を中心とした調査を行う予定である。 研究会も今年度はより積極的に実施し、個別研究で得られた成果を討議、共有するとともに、『聊斎志異』の各国語による「翻訳」「注釈」をめぐる共同討議を行いたい。また、これらの研究成果は、随時学会等で報告するとともに、論文化して学会誌への投稿、書籍への寄稿を行う予定である。
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Causes of Carryover |
予定していた実地調査・研究が、2年続けて実施することができなかったことによる。今年度は、コロナウイルスの感染状況を見ながら実地調査を実施する予定にしている。
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Research Products
(10 results)