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2022 Fiscal Year Research-status Report

中国語の結果義と完了アスペクトの接点:結果補語の用法に反映された中国語的な発想

Research Project

Project/Area Number 20K00540
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

丸尾 誠  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (10303588)

Project Period (FY) 2020-04-01 – 2024-03-31
Keywords中国語 / 結果補語 / 結果義 / 完了アスペクト / 中国語的な発想
Outline of Annual Research Achievements

本研究課題では、結果補語の用法に反映された中国語的な発想を分析しつつ、その使用動機を解明することを主目的としている。今年度は結果補語“満”[いっぱいだ]の用法について、主に分析した。
“zhuo子上有一本書。”[机の上に1冊の本がある。]の“一本”[1冊]に見られるように、“L+V+O”の形(Lは場所を表す語句、Vは動詞、Oは目的語)で表される存在文では通常、統語的に目的語には数量詞が求められるものの、飽和状態での存在を表す“L+V満了+O”の形では結果補語“満”が分量を表しており、重複を避けるために、目的語に数量詞を用いることはできないとされている。例えば「籠の中いっぱいに卵が20個入っている」という状況を補語“満”を用いて“×籃子里装満了20个鶏蛋。”(宋文輝2007)とは表現できない。しかしながら“満”と数量詞が共起した実例は散見される。こうした表現が成立する動機づけの1つとして、Lの表す「定員」という概念を提示した。本内容については「存在を表す“L+V満了+O”形式について― Oと数量表現との共起という観点から―」というタイトルで研究発表を行った。
さらに“L+V満了+O”形式が表しているのは発話時の存在状態であるにもかかわらず、述語動詞フレーズが持続を表す助詞“着”ではなく、完了を表す助詞“了”を伴う動機づけについて、事態の推移という概念を提示した。本内容については「結果残存を表す“了”の用法 ―“V満了”の形を例として―」というタイトルで研究発表を行った。
こうした意味的・統語的制約を有する結果補語“満”を用いた存在表現を分析した上で、論文としてまとめる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

語学論文の執筆にあたっては、収集した用例について、1つずつインフォーマントチェックを行う必要がある。従来は中国大陸に赴き、現地の研究者と討論・意見交換を行うといった作業が論文の作成に有益な効果をもたらしていたものの、コロナが蔓延してからは、渡航できない状況が続いている。本課題に取り組んで3年目になる2022年度でもやはり渡航はかなわなかったことが、研究の遂行にやや遅れが生じた要因の1つとなっている。また、職務上、本課題以外のテーマでの論文を年度内に執筆する必要が生じたことも、進捗状況に影響する結果となった。

Strategy for Future Research Activity

資料収集、分析、インフォーマントチェックという工程を繰り返しつつ理論構築をはかり、論文の執筆を進めるという方針に変わりはない。資料収集に関しても、従来通り、小説やインターネット上のコーパスを利用する。収集した例文は必ずしも規範的であるとは限らないので、取捨選択の判断や、その用例の表す意味・用法については、中国語母語話者の確認をとる作業が欠かせない。コロナが蔓延して以来、中国現地に出張に行けなくなってしまい、今後もまだ見通しが不明瞭である現状に鑑み、オンラインでの討論に加えて、周囲の中国人(大学院生)にも個別に必要に応じて作例を依頼する。

Causes of Carryover

昨年度と同様にコロナ禍のために、今年度も関連の研究会・学会の各種大会はオンラインで開催された。報告者も研究発表を行ったものの、申請時に見込んでいた参加に要する費用は一切かからなかった。加えて、従来であれば毎年夏休みなどの長期休暇を利用して中国大陸にて行っていた資料収集や中国人研究者との討論を目的とした現地調査に行けなかったため、これにも申請時に見込んでいた予算をあてることができなかった。その分の費用を関連図書の購入にまわすなどしたものの、すでに過去2年間同様の状況が続き、繰越金がたまっていたために、今年度それらをあわせたすべての額を使用するには至らず、再度、次年度に残金を繰り越さざるを得ない事態となった。次年度こそ中国に調査に行くことを望んでいるものの、現段階ではその実現の可能性については判断できない。関連図書の購入は、次年度も継続する。

  • Research Products

    (3 results)

All 2023 2022

All Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 3 results)

  • [Presentation] 「動補フレーズ“V壊了”の表す意味 ―“写壊了”の用法から考える ―」2023

    • Author(s)
      丸尾誠
    • Organizer
      東アジア日本学研究国際シンポジウム(上海外国語大学/名古屋大学/東華大学)
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「結果残存を表す“了”の用法 ―“V満了”の形を例として ―」2023

    • Author(s)
      丸尾誠
    • Organizer
      第4回 上海財経大学・名古屋大学合同研究会
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] 「存在を表す“L+V満了+O”形式について ― Oと数量表現との共起という観点から ―」2022

    • Author(s)
      丸尾誠
    • Organizer
      日中対照言語学会第46回大会及び2022年日中対照言語研究国際シンポジウム
    • Int'l Joint Research

URL: 

Published: 2023-12-25  

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