2021 Fiscal Year Research-status Report
Functional study of realis/irrealis in the New Guinea languages
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20K00541
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Research Institution | Shiga University |
Principal Investigator |
野瀬 昌彦 滋賀大学, 経済学部, 教授 (20508973)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | パプアニューギニア / アメレ語 / ベル語 / トクピシン / テンス / ムード |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度もコロナウィルス蔓延による海外渡航制限が緩和されないため,現地(パプアニューギニア)での調査ができなかった.そのため,日本での文献調査を中心とした活動となった.アメレ語の否定,習慣相,過去形と未来形に関するデータを整理し,それとともに,近隣言語であるベル語やトクピシンなどの文献を調べ,対照できるデータを収集した. 他にもニューギニア系の言語以外の文献調査を進め,個別言語のデータと類型論や記述言語学の統括を試みた.日本語や中国語,ハンガリー語などの他の言語の時制やアスペクトの例も収集を継続した.とりわけ,非現実に分類されると考えられる文法事項,否定,命令,未来形などの調査を実施した. その結果,アメレ語をはじめとするニューギニア系言語は世界の言語の中でも現実・非現実の情報が,動詞形態論に集中していることがわかるのだが,それらの歴史的な変化が不明のため,どのように文法化してきたのかについては,何らかの理論的な考察が必要であると感じた. 引き続き,文献資料やフィールドノートとともに,理論的な前提に関する研究も参照しつつ,言語類型論的な観点と,ニューギニア系言語全体の観察を通して,論考を進めていく.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナウィルス流行による海外渡航制限が緩和されないため,調査地であるパプアニューギニアへ行ける見込みが立っていない.それゆえに手持ちの資料や本などを中心とした研究にならざるを得ない.国際学会はオンラインで参加した.
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Strategy for Future Research Activity |
2022年4月現在においても海外渡航の見通しが立たないため,文献調査をはじめ,日本の研究機関でできることを優先する.これまでの現地調査で保存していたフィールドノートや手持ちの研究資料を中心に論文や研究発表を行う.すでに国際学会での発表が内定している.また,昨年度取り組んでいたアメレ語の否定に関する論文が海外ジャーナルで出版される予定である.
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Causes of Carryover |
海外渡航制限で海外への調査や出張ができず,さらに日本国内の移動も制限されていて,旅費を全く使用しなかった.渡航制限が解除され次第,旅費を使用する予定である.
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