2021 Fiscal Year Research-status Report
フィールド調査によるウガンダ西部諸語の声調の通時的研究
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20K00556
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
梶 茂樹 京都産業大学, 総合学術研究所, 科研費研究員 (10134751)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 声調 / バンツー系 / ウガンダ / ニョロ語 / チガ語 / アンコレ語 |
Outline of Annual Research Achievements |
アフリカ諸語は大半が文字がなく文献がない。従って、その歴史的変化を研究しようとすれば研究者自身が現地に赴きフィールドワークによりデータを集める以外にはない。報告者は過去20年に亘ってウガンダ西部で調査を続けている。本研究ではそのデータ及びこれから行う調査によって得られるデータに基づき、ウガンダ西部の一連の系統的に近いバンツー系諸語の声調の通時的変化のプロセスを解明することを目的とする。タンザニア北西部からウガンダ西部にかけては、南からハヤ語(タンザニア領)、アンコレ語(以下ウガンダ領)、チガ語、トーロ語、ニョロ語と並んでおり、概略、南から北に行くに従って、声調体系は単純化する。すなわち、ハヤ語、アンコレ語はn+1型(nは名詞語幹の音節数)、トーロ語は1型、そしてニョロ語は2型である。これらの言語の声調がどの様に変化してきたかを通時的に跡付けることは言語の歴史研究にとって大きな意味を有する。 ハヤ語、アンコレ語、トーロ語、ニョロ語については、すでに調査は終わっているので、令和3年度は、令和2年度同様、チガ語の調査に集中しその語彙集を完成させる予定であったが、コロナ禍により最終チェックを行うことができなかった。ただし、日本国内において出版に向けデータ整理、特に索引づくりを進めることができた。またチガ語の発音において特徴的な硬口蓋化と軟口蓋化についてデータ分析を行い、ほぼ論文を完成させた(あとは現地で最終チェックを待つばかり)。また、動詞活用形における声調についてもその変化の規則をほぼ解明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
令和3年度に予定していたウガンダでの現地調査は叶わなかったが、トーロ語、ニョロ語、およびアンコレ語については十分なデータを得ているので、国内での比較研究が可能であった。また現在調査を継続中のチガ語についても、かなりのデータを得ているので、声調および分節素の分析が可能であった。またデータの最終チェックを待つものの幾つかの論文が仕上がった。
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Strategy for Future Research Activity |
令和4年度は現地調査が可能と思われるので、すでに完成間近いチガ語語彙集の最終チェックを主たる目的とし、またすでに仕上げている論文データの最終チェックも兼ねてウガンダに渡航する予定である。またチガ語の動詞活用表もほぼ仕上げているので、その完成も目指す。さらに、可能なら、チガ語とアンコレ語の様々な方言における声調実現も調査しなるべく多くのデータ獲得を目指す。
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Causes of Carryover |
令和3年度は、予定していたウガンダでの現地調査ができず、渡航費および現地での調査補助員代が執行できなかった。令和4年度は、新型コロナウイルス蔓延の様子を見ながらであるが都合2回調査に行く予定であり、令和3年度分も執行予定である。
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Research Products
(9 results)