2022 Fiscal Year Research-status Report
<明確に規定できない文脈パラミタ―に依存する変項表現>のストラテジーとメタ意味論
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20K00557
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
山森 良枝 (松井良枝) 同志社大学, 研究開発推進機構, 嘱託研究員 (70252814)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | 前提 / 誤謬推論 / 接続法条件文 / common ground / 話者の世界 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、主に条件文の形式を持ちながら、前件が後件の前提を形成しない疑似条件文のメタ言語学的な分析を足掛かりに、今年度は、研究の主な射程を「誤った推論」と言われる誤謬推論に拡張し、前提が不明瞭なまま結論が新情報として与えられる点で共通するこれら二つの推論過程の異同を精査した 前年度の研究結果から、擬似条件文では、前件と後件が協働して、結論として与えられる会話の含意の前提を形成するのに対して、誤謬推論では、結論として与えられる後件は、明示的に与えられる前件が前提を形成しないことから、隠れた前提を持つと考えられること、そして、前者は話者と聴者が共有するcommon groundに属するのに対し、後者の隠れた前提は属さず、「話者の世界」に帰属すると考えられることを提案した。また、このような観点に立脚すれば、誤謬推論を、現行のcommon groundに属さない前件をもつ点で共通する反事実条件文などの接続法条件文と同じ論理構造をもつものとして分析可能になることを示した。その上で、誤謬推論が示唆する「話者の(前提が属する)世界/文脈」の設定を可能にする要因とは何か、という問いの解明に着手した。暫定的ではあるが、誤謬推論の(現行のcommon groundに帰属する)前件と(話者の主張する)後件間の論理的乖離によって引き起こされる現行のcommon groundの分裂/分岐に主たる要因があるとの見方を示した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度までに、条件文の前件と後件の間に論理関係がない事例として、擬似条件文、誤謬推論、接続法条件文それぞれの論理構造の異同を明らかにした。しかし、誤謬推論における「話者の(前提が属する)世界/文脈」の設定を可能にする要因については未だ不分明である。今年度は、この問題の解明に着手し、暫定的なものではあるが、目指すべき分析の方向性を示した。とは言え、コロナ禍の影響で、前年度、前々年度に続き、今年度も複数の学会がオンライン開催になるなど、当初計画していた国内外の出張に支障が生じ、十分な研究成果へのフィードバックが得られなかった、という点において「遅れ」が引き続き生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、誤謬推論において「話者の(前提が属する)世界/文脈」を設定する要因の解明に着手し、誤謬推論の(現行のcommon groundに帰属する)前件と(話者の主張する)後件間の論理的乖離によって引き起こされる現行のcommon groundの分裂/分岐に主たる要因があるとの作業仮説を提示した。今後は、common grounの分裂/分岐の実態をデータに即して具体的に精査し、作業仮説の妥当性を検証するとともに、普遍的メカニズムの解明を目指したい。
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Causes of Carryover |
前年度、前々年度および今年度におけるコロナ禍の影響により、国内外の学会等の中止、延期、WEB開催への移行が行われ、当初予定していた出張旅費を計画通りに支出することができず、持ち越し額が増えた。次年度はおおむねどの研究集会も対面形式により開催される予定であり、計画通りに予算を執行できる見込みである。
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Research Products
(2 results)