2020 Fiscal Year Research-status Report
Descriptive studies about discourse markers and linguistic variants in modern French spoken language
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20K00566
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
秋廣 尚恵 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (60724862)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
川口 裕司 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (20204703)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 地域フランス語 / 現代フランス語話し言葉 / 通時的変異体 / 地理的変異体 / 文体的変異体 / 談話標識 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究代表の秋廣は、現代フランス語の話し言葉研究という観点から、とりわけ、話者の社会言語学的カテゴリー、及び、文体的観点から、談話標識 apres の用法について、オルレアン大学のMarie Skrovec 准教授、Layal Keenan-Caillol 准教授と共に、オルレアン大学のコーパスに基づく研究を行い、共著で論文を執筆した。その論文は、学術雑誌 Langages からまもなく出版される予定である。また、談話標識 du coup について、2005年、2010年、2015年という3つの年代に収集した東京外国語大学の所有する話し言葉コーパスのデータに基づき、3つの年代ごとのデータの比較を行い、ミクロ通時論的観点から研究をまとめ、その成果を2020年の12月の日本フランス語学会で口頭発表し、その内容を単著で論文にまとめた。この論文は、Hava Bat-Zeev Shyldkrot 教授退官記念論文集としてフランスの出版社から出版される予定である。2つの研究から、談話標識の多義性の記述をどのようにするか、という点で、共通した問題点を見出すことができた。今後は、その記述モデルを様々な理論を参照しつつ精密化して提示できるようにする。 研究分担者の川口は、院生協力者とともに、地域フランス語における談話標識の使用について量的分析を行った。PFCコーパスのうちDouzens, Liege, Niyon, Quebec City, Roanne,Reunionの6地点におけるalors, euh, la, parce que, puis等の現れを量的に分析した。現れの傾向には地域的な偏りがみられ、個人的な傾向も見られるように思われるが、今後さらに分析を進める必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、研究代表の秋廣は現代フランス語話し言葉コーパスに基づく談話標識の話者の社会言語学的、言語使用域や文体的変異に関する研究を海外の研究協力者のアドバイスを得つつ進めており、研究成果の発表にも取り組んでいる。研究分担者の川口も、院生の協力を得つつ、幅広い地域フランス語の変異体のデータ分析を進めており、地域的な偏りを見出すことに成功しており、今後、研究成果の発表に向け、順調に調査を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
研究代表の秋廣は、東京外国語大学の蓄積したデータの転写校正やさらなる整備をフランス人ネイティブの院生協力者の助けを得て行う。また、引き続き、談話標識の文体的変異体や通時的変異体の個々の記述を進める。さらに、より一般的な観点から、近年の認知言語学的な理論も参考にしつつ、多義性の広がりを語用論化、意味の非特定化といった枠組みによって説明を試みる。また、研究分担者の川口は、2020年度の分析をさらに精緻化し、発話の状況や文脈といった質的な面を分析し、談話標識の使用と地理的な要因の関連性について考察する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響のため、国内外の学会がオンラインになった。また海外への調査出張、海外の研究者の招聘が不可能であったため、そのための旅費が執行できなかったため、残額が次年度繰越金となった。次年度も引き続き、新型コロナウイルス感染拡大の状況は改善されない見込みであるので、その分の余剰金を使用して、話し言葉コーパスの転写、データ整備のための人件費、及び理論的研究を推進するための図書やデータベースの購入に充てる。
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Research Products
(10 results)