2020 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
20K00570
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
藤原 敬介 京都大学, 白眉センター, 特定准教授 (00569105)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2024-03-31
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Keywords | チベット・ビルマ語派ルイ語群 / チャック語 / カドゥー語 / ガナン語 / チャクパ語 / 借用語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2020年度はコロナ禍の影響により、バングラデシュやビルマで予定していた隣地調査ができなかった。そこで、マルマ語(ISO 639-3 rmz)やチャック語(ISO 639-3 ckh)について、現地の話者とオンラインで調査をおこなった。ただし、通信環境があまりよくないので、2020年7月から2021年1月までに週に一回程度の調査となった。また、日本に在住するチャクマ語(ISO 639-3 ccp)話者に協力をあおぎ、オンラインで調査をおこなった。 マルマ語については、オンラインで公開されているマルマ語アニメの分析をおこなった。このアニメはインドで制作されている。分析の結果、バングラデシュ・バンドルバン地方のマルマ語とは、音声のみならず、語彙や文法面でもいくつかの相違があることがわかった。 チャック語については、精巧表現について調査をおこなった。また、数年来改訂作業をつづけているCak-English-Bangla dictionaryについても、作業をすすめながら借用語の同定につとめた。 チャクマ語については、オンラインで公開されている動画を分析することにより、管見ではこれまで報告がない方向表現があることがわかった。 研究成果としては、オンライン発表を3件(ビルマ・カチン州におけるカドゥー語(ISO 639-3 zkd)とガナン語(ISO 639-3 zkn)の現状報告、モーカー・カドゥー語の概要報告、チベット・ビルマ諸語における借用語動詞標識についての報告)おこなったほか、論文を3本(チャック語の数詞「10」にかかわる不規則な形式が祖語に推定される鼻音接頭辞によるものとした論文、モーラン・カドゥー語の音韻論の概要報告、ルイ語群に属するチャクパ語のルイ語群内部での位置づけをのべた論文)発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍や2021年1月に発生したビルマでクーデターの影響により、予定していたバングラデシュやビルマでの隣地調査ができず、一部をオンラインで代替できたにすぎないため。
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Strategy for Future Research Activity |
コロナ禍やビルマでのクーデターの影響により、今後数年はバングラデシュやビルマでの隣地調査はできないと予想される。そこで、調査の中心はバングラデシュのチャック語、マルマ語、チャクマ語についてのオンライン調査が中心になる。 また、これまで収集した未整理の資料をまとめることにより、借用語の同定作業も継続したいとかんがえている。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により、当初予定していたバングラデシュおよびビルマへの渡航が不可能となった。そのため、オンライン調査での謝金や、ビルマ語でかかれたルイ語群にかんする書籍の翻訳謝金に研究費を使用した。2021年度もひきつづき、オンライン調査での謝金に研究費の大部分を使用する予定である。
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