2021 Fiscal Year Research-status Report
A Study of Language Contact and Language Maintenance in the Republic of Nauru and Brisbane Australia
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20K00573
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Research Institution | Komatsu University |
Principal Investigator |
岡村 徹 公立小松大学, 国際文化交流学部, 教授 (10288954)
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Project Period (FY) |
2020-04-01 – 2023-03-31
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Keywords | 言語接触 / ピジン / クレオール |
Outline of Annual Research Achievements |
新型コロナウイルス感染症拡大のため、調査地である豪州およびナウル共和国に足を運ぶことができなかったが、「人の移動」について、歴史的・社会的・言語的な視座から、図書館等で資料収集することができ、大変有意義であった。特に、言語のピジン化現象は、人と人との接触があったうえでのことであるため、研究テーマを側面から観察することができ、大変意義深いものであった。具体的には、国立国会図書館や国立公文書館に出向き、第二次世界大戦下における、「人の移動」を調べ、言語のピジン化の可能性について、検討することができた。これは、現在ナウル共和国で話されているピジン語の歴史的・社会的成立の背景および言語保持のための言語政策を考察するうえで、大いに参考になるものであった。また、オンラインでの情報収集やインターネットを通じて、海外の研究者と意見交換できたのも良かった。筆者が編集する、学術誌 Language and Linguistics in Oceania にも、数多くの論考が寄せられた。さらに、筆者は、追手門学院大学オーストラリア・アジア研究所が発行する、「オーストラリア・アジア研究紀要」(第6号)や日本オセアニア学会が発行する、国際誌 People and Culture in Oceania, vol. 37 にも研究論文を発表することができた。それぞれの学術誌の査読委員からのコメントは、次なるステップを考えるうえで、貴重な機会となった。加えて、国立民族学博物館共同研究会で特別講師として、「ナウル共和国の歴史」について研究発表できたことも刺激となった。日本ニュージーランド学会においても、「言語の保持」について研究発表をおこなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
まず、言語接触にかかる文献資料を幅広く収集することができたのは、収穫であったと言える。あとは、調査地に赴き、言語の衰退および維持に関する、理論的・実証的研究をおこない、危機言語に関する仮説を検証するだけである。そういう意味において、今年度中に、調査地に行くことが出来る可能性が高まったため、「おおむね順調に進展している」とした。ただ、現時点では、豪州のみが渡航可能であり、本来の目的地である、「ナウル共和国」には入国できない。
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Strategy for Future Research Activity |
まずは、豪州のブリズベンに向かい、ナウル総領事館に足を運びたい。そこで、ピジン英語の資料を収集し、ピジン英語の語彙や文法の成熟度を調べたい。そのうえで、筆者が提示した、言語の衰退を示すモデル「含意階層」の正当性を議論したい。
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Causes of Carryover |
調査地(豪州およびナウル共和国)がしばらくの間、外国人の入国を認めなかったためであるが、このうち、豪州については、渡豪が可能になったため、今年の夏に、調査地に渡り、インフォーマント調査をおこないたいと考えている。
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